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05月19日-03号

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  1. 京都市議会 2010-05-19
    05月19日-03号


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    平成22年  5月 定例会(第2回)      平成22年第2回               京都市会会議録 第3号      (定例会)               平成22年5月19日(水曜日)出席議員(67名)   2番 平山賀一議員   3番 青木よしか議員   4番 山本ひろふみ議員   7番 加藤盛司議員   8番 西村善美議員   9番 とがし 豊議員  10番 佐野春枝議員  12番 吉田孝雄議員  13番 湯浅光彦議員  14番 天方浩之議員  15番 中野洋一議員  16番 藤川 剛議員  17番 下村あきら議員  18番 山元あき議員  19番 西村義直議員  20番 吉井あきら議員  21番 河合ようこ議員  22番 樋口英明議員  23番 宮田えりこ議員  24番 加藤あい議員  25番 木村 力議員  26番 曽我 修議員  27番 久保勝信議員  28番 津田早苗議員  29番 山本 恵議員  30番 安孫子和子議員  31番 隠塚 功議員  32番 山岸たかゆき議員  33番 田中明秀議員  34番 山本恵一議員  35番 寺田一博議員  36番 津田大三議員  37番 井上けんじ議員  38番 西野さち子議員  39番 玉本なるみ議員  40番 赤阪 仁議員  41番 くらた共子議員  42番 井上教子議員  43番 柴田章喜議員  44番 大道義知議員  45番 日置文章議員  46番 谷口弘昌議員  47番 安井つとむ議員  48番 宮本 徹議員  49番 鈴木マサホ議員  50番 田中英之議員  51番 中村三之助議員  52番 大西 均議員  53番 加地 浩議員  54番 橋村芳和議員  55番 小林正明議員  56番 北山ただお議員  57番 山中 渡議員  58番 倉林明子議員  59番 井坂博文議員  60番 佐藤和夫議員  61番 岩橋ちよみ議員  62番 せのお直樹議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 内海貴夫議員  68番 巻野 渡議員  69番 田中セツ子議員  70番 井上与一郎議員  71番 高橋泰一朗議員欠席議員(なし)欠員(2名)   議事日程   開議日時 平成22年5月19日(水)午前10時   一般質問 (1)市政一般について  内海貴夫議員 (2)市政一般について  下村あきら議員 (3)市政一般について  赤阪 仁議員 (4)市政一般について  宮田えりこ議員 (5)市政一般について  山岸たかゆき議員 (6)市政一般について  山本ひろふみ議員 (7)市政一般について  湯浅光彦議員 (8)市政一般について  津田早苗議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(加藤盛司) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付致しておきました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) この場合,議席の変更を行います。 7番繁隆夫議員を65番に,65番加藤盛司議員を7番に変更致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 次に,本日の会議録署名者を指名致します。くらた共子議員と隠塚功議員とにお願い致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理致しました請願1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託致します。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) これより一般質問を行います。発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,内海貴夫議員。 〔内海貴夫議員登壇(拍手)〕 ◆(内海貴夫議員) 皆様おはようございます。2年ぶりの代表質問となりました。後ほどの下村あきら議員共々,自民党京都市会議員団を代表致しまして京都市政一般につきまして質問させていただきます。 満開の桜の下,昨年の政権交代後,初めての大型選挙である知事選挙が熱く戦われました。投票率が低い等の課題は残りましたが,自民党京都府連二之湯智会長代行が出口調査などの結果を見れば自民党の踏ん張りが大きいことは明白と申しましたように,我が党をはじめ多くの政党が支持者をまとめた結果,山田啓二候補が大差の勝利で3期目の当選をなされました。心からお祝いを申し上げますとともに,府市協調を一層強固なものとする中で,より高い地方自治を目指し,大いに御活躍されることを期待しております。そこで市長にお尋ね致します。地方主権の時代と声高くおっしゃる首長が多い昨今でございますが,門川市長は地域主権の時代にどう国に向き合うのか,また,一部地域の首長の動きをどう思うのか最初にお答えください。 さて,今年の春は全くもって異常でした。4月にもかかわらず夏を思わせる暑さの日があったり,一転して雪が降ったりと,おかげで体調を崩された方も多かったのではないでしょうか。異常気象が地球温暖化と関係あるのかないのか定かではありませんが,何か変だなという不安のようなものが頭をもたげているのは私だけではないと思います。昨年12月デンマークのコペンハーゲンでCOP15が開催されましたが,会議では世界全体の気温上昇を2度以内に抑える必要があるとの科学的見解については認識されたものの,温室効果ガス削減に向けた法的拘束力のある合意には至らなかったことは誠に残念であります。現在,国会においては,温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で25パーセント削減,2050年までに80パーセント削減という中長期の数値目標を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案の審議が行われており,昨夜衆議院の本会議で与党の賛成多数で可決されました。この基本法案については,産業界や労働界を中心に反対意見も強いことに加え,数値目標自体も公平かつ実効性のある国際的な枠組みの構築と各国の同意を前提とし,他国の動向に左右されるものであることから,推進派からもその実効性を問題視されていることを改めて指摘しておきます。 このような中,京都市においても9月市会での京都市地球温暖化対策条例の改正を目指して,環境審議会で熱心な議論が重ねられており,先日,規制的措置も含めた大胆とも言える対策案を掲げた中間取りまとめが発表されました。 そこで,まず現行条例の達成状況とその課題についてお尋ね致します。現行の市条例については,2005年4月に全国に先駆けて施行されて以来5年が経過し,本年2010年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で10パーセント削減することを当面の目標としていますが,達成状況はどのようになっていますか。また課題はどこにあると考えておられるのか,門川市長の総括をお聞かせください。 次に,この度の条例改正に向けた市民,事業者等との合意形成ができるのかどうかについてです。中間取りまとめの内容は,2030年に温室効果ガスの排出量を1990年比で40パーセントも削減することを数値目標として掲げ,これを達成するためにエコ通勤,次世代自動車への転換等々,その内容は市民や事業者に対して相当の負担を求めるものとなっています。40パーセントも削減を達成することは並大抵なことではありませんし,地球温暖化対策の重要性を考えれば,市民や事業者に厳しい取組を求めていくことは避けて通れないものと理解はしますが,それだけに改正条例案をまとめるまでには,市民や事業者に対して,可能な限り説明を行い理解を求めていくことが重要であります。条例改正に向けた門川市長の決意をお聞かせください。 次に,資源化可能なごみの回収増に向けてお尋ね致します。資源ごみについては,市と市民の皆様方が一体でリサイクルを推進しています。京都市は,ごみ処理の際に回収した無色,茶色のガラス瓶やスチール缶,アルミ缶などの資源ごみを毎年売却していますが,4種の売却益合計が2004年度は1億3,008万円,2007年度は2億340万円と伸びているのです。もちろんそのときの市場価格が影響しますが,本市にとりまして貴重な財源であると言えるでしょう。ところがそのうちアルミ缶について気掛かりなことがございます。それは既に皆様方御承知のとおり,市民の皆様方が出された資源化物のうち売却益の出るものだけ,特にアルミ缶だけを持ち去っていく人があります。その様子は自転車の両サイド,あるいは前と後ろいっぱい詰め込んで,そして前が見えないものですからよたよたと走っておられる。さらに,振り返ってみますと,最初は遠慮がちに持っていかれた方が今や軽トラックで堂々と持っていかれるというのが実態であります。 このことは全国的にも問題となっています。東京都世田谷区では,平成15年に全国に先駆けて,それまでに制定されていた世田谷区清掃・リサイクル条例を改正し,資源を持ち去る行為者に禁止命令を行い,その命令に背き,なお持ち去る行為を続ける者に対し罰金20万円以下の罰則を科すという規定を設けました。この規定により,平成16年に告発事例が発生。その要旨は次のとおりです。古紙回収業を営む被告人が,条例で禁止されている区内のごみ集積所に置かれた古紙の収集を行ったとして条例違反の罪に問われたのに対し,条例で定める所定の場所が明確性を欠いていることを理由に被告人を無罪としたことから,検察官が控訴,所定の場所とは,いわゆる資源ごみ集積所を指すことは疑問の余地なく極めて明らかであるとし,原判決を棄却し,被告人に罰金20万円を言い渡したという事例でありました。そして,刑が確定した平成20年7月以降,全国の自治体で追随して同様の条例を規定するところが出て参りました。今年1月に同じように持ち去り行為を禁止している沖縄県那覇市を訪れ調査しましたところ,市民の皆さんが決められた方法で決められた日に決められた場所に出された資源化物を無断で持ち去る行為は,平成20年4月より条例で禁止されていました。また市民向けのパンフレットを配布し,資源化物の無断持ち去り行為は禁止ですと啓発するとともに,ホームレスの皆様に関する御相談は等々無断持ち去り行為に対する課題も記載され配布されていました。 京都市では,市民の皆さんがお金を払って袋を購入し,資源ごみ収集看板で示された収集場所に缶やびんなどを出していただいておりますが,これを無断で持ち去るといった行為はいかがなものかと考えております。こうしたことから,資源化物の無断持ち去り行為の禁止を京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例に盛り込むことを検討すべきではないでしょうか。坪内環境政策局長お答えください。 次に,琵琶湖疏水に関連してお尋ねします。琵琶湖疏水は竣工120周年を迎え,これを機に琵琶湖疏水記念館リニューアルオープン,インクラインの三十石船が京都滋賀県人会の寄贈により復元,トンネル洞門出入口の6箇所に水道局により説明板の設置,蹴上発電所外側にその由来を語る4枚の説明板が関西電力により設置と,琵琶湖疏水の散歩道としての周辺環境が一段と整って参りました。日ごろ,琵琶湖疏水の観光開発をテーマとして諸活動されている市民団体,近代京都の礎を観る会もこの機会に京都市ニューツーリズム創出事業の支援と京都府旅行業協同組合の協力を得られ琵琶湖疏水の歴史散策のガイドマップを作成されました。さて,この琵琶湖疏水系には,国の史跡を含む多くの産業遺産が存在し,農林水産省の疏水百選や経済産業省の近代化産業遺産として注目され,京都の新しい観光資源として話題になっています。去る4月7日に京都市国際交流会館で,産業遺産選定に深くかかわっている英国人のスチュアート・スミス氏を招いてユネスコの近代化遺産と琵琶湖疏水の講演会が開催されました。この講演会には門川市長も出席されたと伺っております。この講演は各種ある文化財指定の最高峰と言える世界遺産申請の可能性を探る講演会であったと推測致します。そこで,推進上の問題点と思われることと具体策等について述べます。まず難しくなった世界遺産認定の現状についてであります。昨年度の数値ですが,昭和53年に世界遺産の第1号が登録されてから31年間に890件の世界遺産が認定され,日本も14件登録されています。しかしその内訳は,欧州と北米の認定が過半数を占め年間登録件数も大幅に縮小される反面,登録希望件数は大幅に増加して,その競争率は厳しくなり極めて狭き門となっています。また,登録に至る期間は,地元での集約から早くても10年を必要とする長期プロジェクトです。一例として滋賀県の彦根城は,暫定リストに入ってから20年経過しても登録に至っておりません。では世界遺産候補として見た琵琶湖疏水はどうなのでしょうか。世界遺産とは,世界レベルで選定され世界から選出された人が審査します。したがって,日本でトップレベルの自然遺産,文化遺産,産業遺産であっても,世界でレベルの高い類似遺産があれば厳しい比較審査を受けるでしょう。琵琶湖疏水の場合,次の3つの項目が問題となると思われます。1,外国人の指導で訓練を受けた日本人技師によって建設された近代化土木遺産であり,そのほとんどが海外実績を参考にしています。したがってスミス氏が指摘したように単独申請は難しい課題と思われます。2,土木遺産の場合,放置されて自然破壊が進み,新技術に更新されるときに姿を消すものが多く見られます。琵琶湖疏水の場合は現存されていますが,実用性を重視して石垣は姿を消し水路はモルタルで固められており,形態は維持されていますが,世界遺産を目指すためには昔の姿に戻すことが求められるのではないでしょうか。3,ビデオなどで海外の世界遺産となった運河や水路を見るとその規模は雄大で,その沿線には保存された施設が点在し保全された自然に包まれており,審査員の目を引きそうなポイントが充実しています。琵琶湖疏水も審査を意識した工夫や世界レベルでのセールスポイントの充実の必要性を感じます。では,これらの問題点を解決する策は何なのかとなりますが,4月7日の講演でスミス氏の提案にあったごとく疏水周辺も含めた産業エリアとしてまとめるのが一つの案となるのではないでしょうか。考えられる案としては,1,世界遺産申請を目指している滋賀県の琵琶湖との結び付き,2,琵琶湖から大阪湾までの淀川流域との結び付き,3,琵琶湖疏水の水を利用した小川治兵衛の近代庭園群との結び付きなどが考えられますが,中でも近代庭園は世界に例を見ないものであり,その集団の美は審査員に注目される可能性は大きいと思います。さらに当面の具体策について思いますことは,日本の世界遺産の成功物語を読みますと,地元の行政当局の計画的かつ持続的な検討と工夫がかぎを握っていると言えます。以上,世界遺産申請への推進上の問題点と具体策について述べましたが,地下鉄5万人乗客増への大きな柱となると期待してもよい世界遺産申請への市長の考えをお聞かせください。 次に,市営保育所の在り方についてお尋ねします。本市の保育水準は,門川市長が常々言われているとおり全国でもトップレベルにあり,私たち京都市民の誇りでもあります。その保育水準を確保する根幹が民間保育園のプール制であり,昨年末のプール制検討委員会での徹底した議論を通じ,昨今の社会状況の変化と今後の保育ニーズにより一層こたえていくために制度が見直され,今年度から新プール制が始まったことは御承知のとおりであります。この新プール制によって民間保育園は,これまで以上に市民ニーズ,保護者ニーズにこたえ,子供の最善の利益の実現に努めることになり,更なる機能や質の向上が図られるものと期待するところであります。民間保育園を運営する立場にとっては,長年慣れ親しんできた制度が大きく変わることとなり戸惑いもあると思いますが,トップレベルの保育水準を維持し続けるためには避けて通ることのできない見直しであったと多くの関係者の方々は理解されていると思います。さて,本市の全保育園のうち9割を占める民間保育園に係る見直しがこのように進みましたが,自民党市会議員団は,残り1割の市営保育園についても,これからの時代に見合った変革を行わなければ市民の期待にこたえていけないのではないかと考えています。一般的に高コストと言われる市営保育所について民間保育園と同じ役割,機能しか果たさないのであれば,その存在意義について市民の皆様から疑問が寄せられることになるのも当然ではないでしょうか。自民党市会議員団は,市営保育所が全く要らないと言っているのではありません。市営保育所であるが故にできることは何かを十分に考え,市民の皆様に提案すべきであると求めているのです。今後,新プール制の実施で保育園連盟に加入する民間保育園では,各々の園が血のにじむような改革,努力をされることになります。そのような中で,市営保育所もこの際,保育所の組織の在り方について見直すべきだと考えます。そこで,まずこれまで市営保育所が果たしてきた役割はどのようなものであったのか市長にお考えをお聞きしたい。そのうえで,今後民間保育園と市営保育所の役割分担についてどのように検討されていくのかお答えください。 さて,およそ10年前でしょうか,歯磨きをしますか,それとも死を選びますかというセンセーショナルな記事があったことを私は今思い出しております。80歳で20本の自分の歯を持って,健康づくりをしましょうという8020運動の推進がうたわれて今年で22年目。その達成には,むし歯予防と歯周病予防の両者の推進が必要であることは言うまでもありません。本市の歯にかかわる健康づくり事業を振り返ってみますと,むし歯予防から始まり歯周病へと進展していることが分かります。むし歯予防は,昭和60年に3歳児にいち早くフッ化物歯面塗布を行うむし歯予防事業に始まり,その後,京都市民健康づくりプランを策定し歯の健康づくりを採り入れ,また,公衆衛生を行う1名の歯科医師を初めて採用,さらに平成21年には歯ッピー・スマイル京都の策定へと進化しました。フッ化物洗口事業は,市内市立小学校の一部で平成17年に始まり,平成19年には全市立小学校の179校で実施するとともに,平成21年には保育所及び幼稚園等の施設で実施する4歳児,5歳児を対象としたフッ化物洗口の取組へ支援を実施していると聞いています。次に歯周病ですが,歯周病は糖尿病,動脈硬化症,心筋梗塞,バージャー病,寝たきり老人の肺炎の発症,早産,低体重児出産など全身性疾患のもとと指摘されています。そこで本市における平成18年度成人,妊婦歯科相談実績を見てみますと,歯周病有病者の割合は,40歳代で何と72.3パーセント,50歳代では75.8パーセントと高率であるにもかかわらず,歯科検診や糸ようじや歯間ブラシの使用率は,40歳代で61.6パーセント,50歳代で56.7パーセントと歯,口腔の健康に対する市民意識はまだまだ低いと言わざるを得ません。その対策として,歯周病予防を推進する市民意識の形成を図るための事業が必要と思います。幼少児期でのむし歯対策,成人以降の歯周病対策の普及啓発等がバランスよく取り組まれる必要性がこれまで以上に重要であることを示唆しているのではないでしょうか。近年の市民の健康意識の高まりから,保健福祉局において健康の保持増進事業,とりわけ健康づくりサポーターの育成や食育推進員の養成には今年度から更に力を入れると伺っておりますが,この歯科,口腔分野にも力を一層注ぎ,市長の言われる融合としてのトータルヘルスケアを目指すべきと考えます。なお,歯周病予防に特化した事業がむし歯予防にかかわるものに比べ少なく,バランスが取れていないことを付け加えさせていただきます。そこで口腔保健対策について,今後の展開,展望をどのようにしていくのか,その必要性,重要性,認知性を含めた市長としての見解をお聞かせください。 次に,予防接種についてお尋ねします。21世紀は治療から予防への時代と言われて10年が経過しています。しかしワクチンによる予防可能な病気があるにもかかわらず,その病にかかり後遺症が残ったり命を失ったりすることが依然として見受けられることは大変残念なことです。予防接種で守られる命を失うことは,人的のみならず社会経済的にも大きな損失であり,特に子供の重い後遺症や避けられる死を予防接種で防ごうという取組を広げなければならないことは御承知のとおりであります。さて,ワクチンには予防接種法の下,公費助成があり,なおかつ健康被害に対する国の救済措置がある定期接種ワクチン,つまりジフテリア,百日咳,破傷風,BCG,ポリオ,麻しん,風疹,日本脳炎と65歳以上の高齢者に対する季節性インフルエンザの9種から成る法に基づくワクチンと,接種が親の判断に任され法に基づかない,また健康被害時の救済措置額が約2分の1である任意接種ワクチン,つまりヒブ,肺炎球菌,インフルエンザ,水痘,おたふく風邪,B型肝炎,A型肝炎,子宮頸がん,ロタ等があります。任意接種ワクチンに関しては,2008年12月にヒブワクチンが2009年に小児用肺炎球菌ワクチン子宮頸がんワクチンが販売承認され,マスコミでも取り上げられたところでありますが,改めてこの3種類の効能や費用について少し触れたいと思います。まずヒブによる髄膜炎は,5歳までに約2,000人に1人の確率でかかる病気であり,そのワクチンは世界の110箇国以上で使用され,接種時期はゼロ歳から1歳児に4回接種,4回接種すると約3万円前後の自己負担が必要となります。実施国ではヒブによる髄膜炎が激減,また,小児肺炎球菌ワクチンは,乳幼児に接種すると肺炎球菌による菌血症,急性中耳炎,髄膜炎に有効であると米国で証明されています。費用は4回接種が必要で3万4,000円から4万円の自己負担が掛かります。さらに子宮頸がんは,高危険HPV感染により発症する女性のがんです。ほとんどすべての女性が一度はHPVに感染し,そのうち約0.15パーセント程度の女性が持続感染状態となり,前がん病変が発生すると考えられています。我が国の年間の発症者数は約1万5,000人,死者は約3,500人。20から30歳代の女性では発症率第1位のがんとなっています。このことから子宮頸がんの発生の阻止は,HPVに感染する前にワクチン接種を行う必要があると言われています。接種年齢時期に関しては,性交渉前の11から14歳に3回接種することで持続感染予防効果発生予防効果がほぼ100パーセント,しかもその効果は接種後10年以上たって現れます。費用は3回接種で4万5,000円から6万円の自己負担がありますが,がんの予防ができれば,これに勝る対策はないと考えられます。 以上3種のワクチンについて述べました。その効能の大切さが御理解いただけたと思いますが,同時にそれらの自己負担にかかわる費用がいずれも高額であり,これが大きな課題であることも認識していただけたと思います。子宮頸がんワクチンを例に取りますと,本市の中学1年生の女の子を対象に全額補助する場合,対象者数は平成21年10月現在で5,849人,補助額5万円で100パーセント受診しますと費用は2億9,245万円となります。そんなに掛かるのかと思われるでしょうが,私は医療経済をマクロの視点で見た場合,ワクチン接種の普及は命の予防行政には欠かせないものであると考えており,また多くの国では公費負担が実施され,あるいは検討されている中で,我が国では地方自治体で公費負担が行われようとしていることに懸念しています。医療の平等性を思うとワクチン接種は,国の子ども手当支給のおよそ5兆円余りの一部により現物支給として有効活用されなければならないと考えます。市長として本市のワクチン接種行政をどのように有効かつ実効あらしめるのか,命,健康を守る立場からの見解をお聞かせいただきたい。 最後に,小学校跡地の活用についてお尋ねします。平成23年春の開校を目指して現在東山区では開晴館の建設が進められています。東山区内で初めての小中一貫校となる同校の開校は,教育環境を大きく改善するとともに少子高齢化が顕著な東山区に子供を持つ若い世代の居住が促進され,生き生きとした多世代住居のまちづくりにつながるという大変大きな期待を地域の皆さんは抱いておられますし,また具体的な検討が進められている東山区内南部の四つの小中学校の統合についても,同様に地域は大きな期待を寄せています。一方で,開晴館の開校に伴い既に閉校となっている小中学校を含め未活用の跡地は7校となり,また区内南部でも2校の跡地が生まれます。閉校となることで周辺にいかがわしい店が出店することはないのか,学区の行事や地域でのこれまでの利用は保証されるのかといった心配や,少年野球やサッカーなど子供たちが伸び伸びとスポーツができる広場として活用すべきだといった意見など閉校後の跡地の活用をめぐって現在様々な声が寄せられているところです。平成5年に都心部小学校跡地活用検討委員会が設置され,地域の要望を聴きながら跡地活用が進められて参りましたが,その後も生まれている学校跡地については,その活用の方向性すら示されることなく今日に至っています。地域はもとよりすべての市民にとって掛け替えのない資産である学校跡地の活用に,今後どのような姿勢で臨まれるのかお答えください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 内海貴夫議員の御質問にお答え致します。 まず地域主権の時代についてでございます。東京一極集中,二重行政,縦割り行政,行政主導という弊害を打破し我が国が発展していくためには,市民に最も身近な基礎自治体にこそ権限と税財源を移譲し,住民の意思を迅速かつ総合的に,また市民と行政が共に汗する共汗で実現していく地域主権型社会への転換を早くしていかなければなりません。とりわけ政令指定都市は,市民生活にかかわるすべての行政を直接担う基礎自治体であり,あわせて市域において府や県が担う行政を執行していく行政能力を持ち,全国の基礎自治体を牽引する重要な役割を果たす最も自立した自治体であります。私は,これまでから機会あるごとに多彩な個性と魅力に満ちあふれた市政を推進するとともに,府県との二重行政による無駄を解消するため,政令指定都市は特別市としてそうした制度を目指すべきだと主張してきたところでありますし,先般開催されました政令指定都市市長会議において,政令指定都市を府県と同格に位置付ける特別自治市の創設を強く国に求めることを全会一致で決定致しました。現在,内海議員御指摘のとおり例えば大阪都構想など地方自治制度の在り方について様々な議論が行われておりますが,私は現行制度の見直しを主張するだけでなく現行制度の枠組みにおいても制度の限界に挑戦する絶え間ない改革の努力が何よりも重要であると考えております。このため山田京都府知事との府市協調の下,基礎自治体重視を基本に七つの府市行政協働パネルを設置し,府市の政策を徹底して融合することによって,地域主権時代の取組を京都から推進しております。同時に国に対しても制度の改革を要望して参ります。今後とも京都府や他の政令指定都市とも連携し,地域主権の確立に向けて改革の取組に全力を傾注して参ります。 次に,地球温暖化対策条例の総括と改正に向けた決意についてでございます。本市におきましては,地球温暖化という人類共通の問題を解決するため,全国に先駆けて地球温暖化対策条例を施行し,高い目標を掲げ京都の市民力,地域力を生かした取組を進めて参りました。この結果2008年における京都市の温室効果ガスの総排出量は,速報値で1990年比11.7パーセントの減少であり,原油高騰や金融危機の影響があるものの現行条例の目標である10パーセント削減を達成する状況にあります。しかし,これは目標年次である2010年に向けた通過点であり,依然として高止まり傾向にあるオフィスや家庭部門,自動車利用に係る排出の削減が大きな課題であると認識致しております。このため中長期に向けた大幅な排出削減のためには省エネルギーの一層の促進,太陽光発電などの再生可能エネルギーの大幅な普及,自動車から公共交通への転換など更なる対策を講じていく必要がございます。内海議員御指摘のとおり,市民や産業界等の幅広い審議を取りまとめた中間取りまとめには,市民や事業者の皆様に御負担をお掛けする内容が盛り込まれております。しかし私は,このような措置は必ずしも社会経済活動を抑制するものではなく,市民の皆様の新たなライフスタイルの創造,ごみの更なる減量や環境分野に強みを持つ京都企業のビジネスモデルの改革,そうしたことを産学公連携により進めまして技術革新を促す起爆剤となるものであり,本市が世界をリードする持続可能な低炭素社会実現を目指していくために,不可欠な取組であると確信致しております。こうした信念の下,パブリックコメントの実施や公開意見交換会の開催に加えまして個別の事業者や団体,市民グループへのきめ細やかな説明を尽くすことにより,御理解と御協力いただけるよう全力で取り組み,来る9月市会において京都議定書誕生のまちにふさわしい大胆かつ先駆的な改正条例案として提案させていただく所存でございます。よろしくお願いします。 次に,琵琶湖疏水の世界遺産登録についてでございます。今年,竣工120周年を迎える琵琶湖疏水は,西洋からの技術移転により日本人のみによって設計,施工し,その水を発電に利用し,その電力で市電を走らせるなど日本の急速な近代化に大きな役割を果たした貴重な産業遺産でございます。私は,この琵琶湖疏水が今後世界遺産に登録されることを心から願っている者であります。登録に当たっては,内海議員御指摘のとおり,また講演会においてスチュアート・スミス氏からも御指摘がありましたとおり,琵琶湖疏水のみならずその周辺の産業遺産や近代庭園群も含めた評価が不可欠と考えております。このため,本市では世界遺産登録に向けた準備調査の一環として今年度から国の補助を得て琵琶湖疏水やその周辺の岡崎地域の調査を行うほか,大学との連携により小川治兵衛作庭による近代庭園群を主な対象とする調査を実施して参ります。現在,水と緑とハレ舞台をコンセプトに全庁的に取り組んでおります岡崎地域活性化ビジョン策定との連携はもとより,幅広い市民の皆様の御理解,御協力を得ながら琵琶湖疏水の世界遺産登録を目指して参ります。 次に,市営保育所の在り方についてでございます。本市におきましては,市内保育所の約9割が民間保育園によって運営されており,本市の保育水準はこれらの保育園関係者の御尽力により全国的にも高いレベルを維持してきたところでございます。更に,この4月から民間保育園の主体的な経営の促進やバランスの取れた職員配置を目指して見直しを行った新プール制の下,子供たちの最善の利益の実現に焦点を当て市民ニーズにこたえる民間保育園ならではの柔軟な運営と創意工夫が,より一層発揮していただけるものと私は確信致しております。一方,市営保育所につきましては,地域の保育ニーズが増加する中,運営をお願いできる民間法人が少なかった時期に開設され,地域に根付いた保育を行うとともに重度の障害児や虐待を受けた子供の緊急の受入れなどの年度途中の保育需要をカバーする役割を担って参りました。しかしながら,核家族化の進行や共働き世帯の増加,これらに伴う保育ニーズの多様化など保育を取り巻く環境は大きく変化しており,本市と致しましても厳しい財政状況の下,これらに的確に対応し良質で満足度の高い保育サービスを効率的に提供していくためには,内海議員御指摘のとおり民間保育園と市営保育所の役割分担も含めて,今後の市営保育所の在り方を検討していく必要があると考えております。本市におきましては,これまでから福祉施設の在り方を京都市社会福祉審議会において順次検討していただいており,市営保育所の在り方につきましてもこの審議会において学識経験者や保育の専門家のほか,市民公募委員も交え徹底的な御議論,御検討をお願いして参ります。今年度内には審議会から御提言いただき,そのうえで本市としての方向性を定めて参ります。 次に,口腔保健施策についてでございます。歯の健康は全身の健康のかなめであり,歯周病は,糖尿病や動脈硬化等の生活習慣病の原因の一つであるとも言われております。本市におきましては,市民の皆様に健康で豊かな生活を維持していただくため,従来からむし歯予防に加えまして歯周病対策にも重点を置いた全国でも先駆的な歯の健康づくり行動指針であります歯ッピー・スマイル京都を昨年策定し,京都府歯科医師会との連携も致しまして歯周病対策に取り組んで参りました。今年度につきましては,全身の健康にも影響を及ぼす歯周病の予防の大切さを知っていただくための講演会を開催するほか,市民の皆様が自ら進んで健康づくりに取り組むための歯周病予防手帳を作成し配布するなど様々な周知,啓発の機会を通じて歯周病予防の重要性を更に訴えて参ります。今後とも保健センター事業に加え,健康づくりサポーターや食育指導員の活動とも連携しながら全身の健康づくりとして口腔保健の一層の充実を図り,80歳で20本以上の自分の歯を持つ8020運動をより一層推進して参ります。 次に,本市における予防接種行政についてでございます。予防接種法におきましては,感染のおそれのある疾病の発生やまん延を予防するため,国が治験や専門家の意見に基づき有効性,安全性を認めたうえで公費負担の対象となる定期の予防接種を指定しており,本市では毎年14億円もの巨費を投じ定期の予防接種の推進に努めているところであります。任意の予防接種の中にも疾病予防に有効なものがあり,一部の自治体では公費負担が行われておりますが,万が一健康被害が発生した場合,国の救済制度に比べまして補償額も半分程度であり健康被害の迅速な救済を図ることができません。内海議員御指摘のとおり,私も市町村の公費負担の有無によって接種の機会が異なることはあってはならず,命,健康を守るために全国一律で対応すべきものであると確信致しております。本市と致しましては,必要性の高い任意の予防接種につきましては,健康管理はもとより医療費の抑制にも効果があると認識しており,早期に予防接種法に規定し国の救済制度の対象とするとともに,定期の予防接種も含め国による財源措置を行うよう国に対して引き続き強く求めて参ります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは小学校の跡地活用についてお答え致します。京都市では,学校統合により生み出されました都心部の小学校跡地を本市全体の発展や都心地域の再生の観点から活用するため,平成6年に基本方針を策定し,これまで上京,中京,下京の3区の10箇所の跡地については,老人福祉施設や芸術センター,国際マンガミュージアムなどの施設として整備するなど幅広い分野で活用してきております。一方,すべての跡地を現時点で本格的に活用してしまうのではなく,次の世代のために確保している跡地を含めまして,10箇所につきましては現在暫定的な活用を行っているところでございます。こうした上,中,下京区の跡地に加えまして東山区や南区などで新たに生まれます統合校跡地の今後の活用につきましては,様々な市民ニーズや行政ニーズにこたえ魅力あるまちづくりにつなげていくため,民間活力の導入といった新たな観点にも着目しつつ,その在り方を検討することが必要であると考えておりまして,現在その進め方を含めまして庁内で検討しているところでございます。今後,議員御指摘の地域コミュニティ活動の拠点機能など地域の皆様の声にも十分耳を傾けながら,市民の貴重な財産であります学校跡地を最大限有効に活用できますように積極的かつ早急な取組を進めて参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 坪内環境政策局長。 〔坪内環境政策局長登壇〕 ◎環境政策局長(坪内俊明) 資源物の無断持ち去り行為の禁止についてでございます。市民の皆様が資源ごみとして有料指定袋で出していただいた缶や瓶につきましては,本市が収集しリサイクル施設において再資源化のために必要な処理を行ったうえで売却しております。この売却代金は平成19年度は約2億円,20年度は約1億6,000万円にも上り,本市の極めて厳しい財政状況の中で貴重な財源であります。しかしながら,最近のアルミ缶や鉄くずなどの価格の高騰に伴い,ごみ集積所に分別排出されたアルミ缶などを無断で持ち去る行為が発生しており,市民の皆様からは,京都市が収集するものとして購入した有料指定袋で分別して資源物を出す意味がないといった声が寄せられております。こうした資源物を無断で持ち去る行為は,市民の皆様のごみ減量,リサイクルの取組に水を差し,ごみ減量意識の低下を招くとともに,京都市が本来収入するべき財産の損失にもつながることとなり早急に対応していかなければならないと考えております。このため内海議員御指摘のとおり,他都市の事例等も参考に条例での規制について検討して参ります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 次に,市政一般について,下村あきら議員に発言を許します。下村議員。 〔下村あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(下村あきら議員) 改めまして,おはようございます。私は,下京区選出の下村あきらでございます。内海先輩議員に続きまして自由民主党市会議員団を代表して質問させていただきます。 その前に大変恐縮ではございますが,昨年の2月,常に庶民感覚をモットーに10期38年間京都市会で御活躍されました西脇尚一先生が急逝されました。先生におかれましては,下京区はもとより京都市政の発展に御尽力されてこられましたが,任期半ばでの突然の御逝去のためまだまだやり残された事業が数多くおありであったかと拝察致します。また先生は,議員であると同時に下京消防団員として58年間地域の防火防災に日夜取り組んでこられました。私も昨年の2月まで下京消防署長として38年間京都市消防局に勤務させていただき,地域防災を中心に安心安全なまちづくりに携わって参りました。とりわけ西脇先生とは4年間近く下京消防団長,下京消防署長という立場で御一緒に仕事をさせていただきました。先生の地域に対する熱き思いは,折に触れまた機会あるごとにお聞きして参りました。今まさにそのお人柄がしのばれるところでございます。改めまして,心から御冥福をお祈り申し上げます。 そういった中,図らずも私は,西脇先生の後継者として昨年3月に実施されました補欠選挙におきまして多くの皆様方から御信任をいただき当選させていただきました。改めて御礼を申し上げます。西脇先生の御遺志はもとより38年間の消防生活で培って参りました経験をもとに,安心安全なまちづくりをライフワークの一つに頑張って参ります。よろしくお願いします。 さて,私が消防局に勤務して間もないころでした。先輩から防火座談会時に活用する資料を頂きました。その資料には,鏡から火事,風呂の空焚き,かんにんどすえなど防火を心掛けていただくための身近な事例集が集約されていたテキストでありました。その中にこんな話がありました。万年目の亀というお話です。鶴は千年,亀は万年と教えられた子供が夜店で亀を買ってもらって喜んで帰りましたが,翌日死んでいました。子供は亀は万年生きると教えられた父親に,なぜ亀が死んだのと尋ねたところ,丁度その日が万年目であったと答えたそうでございます。京都市の世帯数は65万世帯でございます。仮に毎日1軒ずつ火事が起こったとして65万目の世帯は1780年目に回ってきます。なかなか回ってこないようですが,明日がその日に当たるかもしれませんということでございます。災害はいつ自分の身に起こるか分からないよというお話をまずさせていただき質問に入らせていただきます。門川市長,理事者の皆様方には誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。 まず初めに,観光都市京都における震災時の帰宅困難者対策についてお尋ね致します。もしも今,京都市でマグニチュード6から7クラスの大地震が発生したらどうされますか。身の安全を守るために机の下に皆さんがうまく隠れる行動が取れるでしょうか。瞬時にしっかりとした行動を取るためには,様々な機会での訓練参加による体感,体験が大切と言われています。さて,議場の地震もようやく収まり,幸いにも大きな被害はでなかったようですが,平成7年1月17日午前5時46分,ゴーゴーゴードーンというわずか15秒の大きな揺れで6,400人を超える尊い人命が一瞬にして失われ甚大な被害をもたらしました戦後最大の都市型大地震阪神・淡路大震災から15年が経過しましたが,その後この地震の検証が様々な角度からなされ,多くの教訓の下に各都市では計画的に震災対策に取り組んでいます。京都市においても,大地震の貴重な教訓を基に,より詳細な被害想定である第3次被害想定を策定して京都市地域防災計画を全面的に見直し,備蓄食糧の増加,応援協定の締結,耐震改修の促進や道路,橋梁,公園等の整備に取り組んでおられます。今後も引き続き147万人の京都市民の命と暮らしを守り,安心安全なまちづくりに積極的にお取り組みいただくようお願い申し上げます。 さて,京都市では,市民以外に多くの観光客の方々や通勤通学の皆さんが日々滞在されております。関西広域連携協議会では,京都市における震災時に帰宅困難になる方は,最大で約38万7,000人と想定されています。万が一,地震等の大規模災害が昼間に発生した場合,これらの方々が鉄道,バス等の大量交通手段が停止することにより帰宅が困難な状況に陥り大量の滞留者が発生した場合,様々なパニックが起こる危険性があります。この帰宅困難者の皆さんをいかに安全にお守りし帰宅していただけるかが京都市にとって重要な責務の一つでもあります。とりわけ京都市では,平成20年に念願の5,000万人観光都市を達成し,観光の質向上を重点に,未来・京都観光振興計画2010+5において,市長は新たなステージへチャレンジする時を迎えたと述べておられます。このもてなしの質の向上の基本は,何と言っても安全と安心ではないでしょうか。京都市では,帰宅困難者対策として平成16年7月の京都市地域防災計画の全面見直しの折に,帰宅困難者への対応体制の整備,更には帰宅困難者対策計画が定められています。この計画には,基本方針として帰宅困難者は,地震の発生に際して,まず自らの身の安全を確保した後,行政機関及び報道機関等の防災関係機関が提供する情報等を入手するとともに,NTTの災害伝言ダイヤル171,ここに安否情報を登録して安全を確保しながら帰宅することを原則と致しますが,帰宅困難者には様々な状況があることから,居住地のある自治体,外出先の自治体及び勤務先企業,宿泊施設,観光関連施設並びに帰宅経路沿線の事業所等は,防災情報や代替交通機関の提供等の支援策を連携して実施すると定められています。この基本方針に基づき京都市及び区の災害対策本部及び各事業所において,帰宅困難者に対して一定の役割分担をしっかりするよう明記されてはいます。しかしながら,大規模災害が発生したとき帰宅困難者の方がそれぞれの関係する学校,事業所,ホテルといった所におられるとは限りません。駅ターミナルや観光地など様々な場所で災害に遭われることも予測されます。こんなとき,だれも頼る者がなく自分自身の身に今何が起こり,これから一体どうすればいいのか。そんなときしっかりとしたサポートをしてくれるそんな組織や団体が身近にあれば,どんなに心強いことでしょう。京都市は本年3月23日,地震など大規模災害時に観光客及び市民の避難,さらには帰宅を支援しようと14商店街が加盟する京都商店連盟中京東支部と災害協定を結ばれました。これは観光客支援を目的にした災害協定としては京都市では初めてのことと伺っております。観光の質向上を目指す京都市においては,こういった災害協定の締結を更に積極的に展開していくことが大切なことではないでしょうか。帰宅困難者の方々の安心安全の対策をより拡充するため,市内の広範囲にわたり主要な駅ターミナルや商店街,観光地等においても災害時の応援協定の締結などを早期に進め,市民の方はもとより帰宅困難者の皆様にとっても,市内全体のどこに行っても,またどこにいても安心安全のネットワークで支えられるまちづくりに取り組むことは重要な施策の一つではないでしょうか。 次に,大規模災害発生時における情報伝達システムとしては,地域防災無線をはじめ災害対策本部,防災関係機関及び避難所等に一定整備を行い,速やかに災害情報を伝達できるようシステム化されています。このほか昨年度から運用を開始した水災情報システムの機能の一つには,多メディア一斉伝達装置を活用した携帯電話によるメール送信がシステム化されています。ただ,この送信先は,消防職員,消防団員,自主防災会長,地下街や要配慮者施設の管理者などに限定されています。このため,安心安全ネットワークづくりと共に,帰宅困難者に対する災害応援協定の締結先に対してもこのシステムを活用し早期に積極的な情報が伝達できるよう取組をすることが必要なことではないでしょうか。そこで市長にお伺い致します。観光都市京都市として,おもてなしの質を高めようとされる今,帰宅困難者対策の安心安全を守るためには,次の三つのことが重要な施策ではないでしょうか。一つは,まず早期に市内全域に広域的なネットワーク体制の構築,2点目には,その締結先等への迅速な情報伝達システム化の整備,そして3点目に,これらを有機的に機能させるための運用訓練の実施。これらの帰宅困難者対策を早期に拡充,整備することが観光都市京都として大変重要なことではないでしょうか。御所見をお伺い致します。 次に,大規模災害時における消防団のOB団員による支援体制についてお伺いします。阪神・淡路大震災のとき,次の内容の事例が新聞に掲載されていました。兵庫県北淡町,淡路島では,2,200戸の家屋が全半壊致しました。そして40人の方がお亡くなりになりました。しかしながら,当日午後4時までの間に1万800人の全町民の安否を確認し,火災発生をゼロに抑えた。これは日ごろの消防団員とOB1,000人による団員,さらには自治連合会が毎年来る台風に備えて一生懸命連携し対応している日ごろの備えが有効に活用されたからだというような社説でございました。大規模災害発生時には,いかにマンパワーが必要であるかと言われています。そしてこの事例のように,できることならばそのマンパワーのメンバーには防災に関する知識,技術,経験,かつ地域のことについて精通していることが望ましいということが実証されています。京都市消防局におきましては,平成8年1月17日京都市消防支援ボランティア制度を導入しております。私もこのボランティアの委嘱状を消防局長から頂だいしております。少し拡大したものを持って参りました。こういった活動をすることのない平和な日々が続くことを願っていることは言うまでもございません。そういった意味で,消防職員のOBが万が一震度6弱以上の大震災時において,それぞれの所轄の消防署に応招して消防局の支援を行うということです。消防署と消防団は車の両輪とよく言われます。そこで市長にお尋ね致します。京都市の消防団は日本一と門川市長は折に触れ御発言されております。兵庫県北淡町の例のように消防職員のOBによる支援体制等からもマンパワーの更なる充実は重要な施策ではないでしょうか。消防団員の方が全員出動し分団器具庫が全く空になったとき,地域の方が救助活動の支援を求めてこられても的確な対応ができないと考えられます。知識,技術,経験などを習得されたOB団員の皆様方に力強いマンパワーとしてお手伝いいただくことが地域住民の安心安全を守るためには重要なことと存じます。京都市消防支援ボランティア制度と同様に,この消防団支援ボランティア制度を創設されてはいかがでしょう。御所見をお伺いします。 次に,私は,昨年度は交通水道委員会に所属しており,委員会などで交通局,上下水道局の経営健全化対策について質問して参りました。改めて質問させていただきます。まず交通局高速鉄道事業の経営健全化計画,5万人増客の推進についてお尋ねします。地下鉄は,市バスと並んで既になくてはならない市民の日常の交通手段として定着しております。また,市民や京都を訪れられる皆様方にとっても可能性を秘めた歩くまち・京都を支える大切な都市機能として重要な責務の一つであると認識しております。しかし,平成21年度に経営健全化団体となった本市高速鉄道事業が経営の危機を脱することは並大抵なことではありません。もとより人件費,経費,こういったものの日常のランニングコストの削減等が極めて重要であることは論をまたないところでありますが,経営健全化計画を見ましても,何と言っても最大の課題は1日当たり5万人の増客目標であります。増客施策には,地下鉄駅周辺への新たな集客施設や催し等の誘導,さらに歩くまち・京都市民憲章や環境モデル都市としてのモビリティマネジメントによる市民の皆様に対する啓発なども大切であることは言うまでもありません。まずもって地下鉄がその利便性とサービス性をより高めていくことが必要です。このためには皆様方に地下鉄に親近感と愛着を感じていただき,移動手段としての役割だけでなく喜んで乗ってやろうという機運を醸成していくことが求められるのではないでしょうか。このためには例えばややもすれば無機的で冷たい雰囲気のする駅の環境を変え,お客様を温かく受け入れる駅,あるいはお客様が何かわくわくしながら駅に向かい楽しんで列車に乗る,地下鉄を利用することで何か新しい発見ができる,そうした魅力を持った駅を創出することが必要なことではないでしょうか。 民間の交通事業者を見渡せば,ゲゲゲの鬼太郎列車や地方のシンボル,お祭などに連動した駅装飾など全国に向けて話題性を発信するなど各種の企画が行われています。本市地下鉄におきましても,こうした民間の手法を参考にすれば,例えば車両関係でいえば,国内はもとより国際的にもブームでもありますマンガ車両の導入,また駅関係では,烏丸御池駅は京都国際マンガミュージアムの最寄駅であり,駅舎等での同ミュージアムとのコラボレーションの企画や催し物の企画の紹介などは,きっとお客様をわくわくさせることでしょう。最寄りの駅となるそれぞれの駅には,多くの文化施設,文化財,四季折々の伝統祭事がございます。それほど有名でなくとも地域の様々な祭事や風物詩がございます。そうしたそれぞれの駅の地域的な資産を活用しながら駅は駅なりの温かい出迎えの雰囲気づくりを行うべきだと考えます。 この度四条駅のリニューアル概要が発表され,愛称の募集が始められました。駅ナカビジネスの順調な推進を大変うれしく思いますが,乗降客が多い駅での利便性と収益性を見込んだ事業展開だけではなく,にぎわいを呼ぶための文化事業など乗降客の少ない駅でも乗降客がちょっと興味を示しほほ笑むことができるような華やぎやにぎわいを感じさせる出店や演出などを工夫できないものでしょうか。5万人増客を推進するためには,公共交通機関の利用促進への誘導や沿線の土地利用の転換に市が取り組むことはもちろん,地域の皆様と共に市民の皆様の地下鉄への愛着を着実にはぐくんでいくための施策にも気を配っていただきたいと思います。京都市では,全庁一丸となって地下鉄5万人増客に取り組むために,4月には副市長をトップとする推進本部を立ち上げられ,5月1日には市長がキックオフ宣言をされました。そして5月をキックオフ月間と位置付け,5月29日を地下鉄の日と命名され,そのフィナーレとなる様々なイベントを予定しておられます。こうした取組も多くの市民の皆さんに地下鉄に愛着を持っていただくための有効な手段になるかと思いますが,先ほど申し上げた提案も含めて,目標の達成に向けた考え方と決意をお伺い致します。 次に,水道事業の経営の根幹にかかわる水道水の利用促進についてお尋ね致します。少子高齢化が進み,また社会全体が節水型へと転換する中で水需要は減少を続け,平成10年度から平成20年度の10年間だけでも約13パーセントも減少しております。本年度予算を見てみましても,経営を左右する水道料金の収入は,景気後退の影響も受けて前年度比で5億3,900万円,1.9パーセントの減となっています。このような状況の中,上下水道局におきましても,中期経営プランや企業改革プログラムを着実に推進し,人件費の削減をはじめ様々な経営改革,企業改革の推進により水道事業会計は2年連続で黒字予算とするなど,その努力は大いに評価できますが,やはり収入の大部分を占める水道水の利用促進に,これまで以上に取り組む必要があると考えます。 昨年,上下水道局が浄水場や水環境保全センターの一般公開で実施されました水道水と国産ミネラルウオーター,そして外国産ミネラルウオーターを飲み比べてもらういわゆる利き水の結果は,水道水が一番おいしいということはマスコミからも承知されていることであろうと思います。しかし残念ながら今,水やお茶をペットボトルで飲む方が大変多く,いわゆる蛇口離れが進み,そのことに伴い急須の文化が廃れているというのも現状でございます。急須を知らないお母さん,急須を知らない子供さんもたくさんいると言われています。原点は,やはり蛇口から水を飲む,また水道の水を沸かし急須でお茶を入れて飲むといったことが大切であると考えます。蛇口離れが進んでいる原因の一つに,ビルなどで使用されている受水槽や高架水槽が水道水の味を落としているのではと言われています。三つ子の魂,百までと言うように,私たちは蛇口から直接水道水を飲んだことが体に染み付いています。例えば学校において受水槽を通さない直結給水された水道水が提供されれば,子供さんたちは今まで以上においしく,また当たり前のごとく蛇口から直接水道水を飲むことでしょうし,このことは,大人になってもごく当たり前の生活習慣となるのではないでしょうか。また,世界中で脱ペットボトル水の動きが始まっています。2007年にサンフランシスコ市ではボトル水を公費で購入することを止め,シカゴ市ではボトル水に税金を掛ける取組が始まりました。さらにオーストラリアのシドニー近郊にある町では,住民の圧倒的多数の支持を得てペットボトル飲料水の販売を禁止する条例が制定されました。イギリスにおいても2008年に政府がすべての省庁の会議においてペットボトル飲料水の購入を禁止することを発表するなど,脱ペットボトルの動きは既に多くの国で取り組まれるレベルにまで進んでいます。まさに今や脱ペットボトルが世界のトレンドとなりつつある中,環境の視点からペットボトル水を見直そうという機運が高まってきています。これらのことは水道水を飲む蛇口回帰の追い風でもあります。門川市長がピンチはチャンスであると言われるように,水需要が減少傾向にある中で水道水が再評価され脱ペットボトル水へと動き始めたこの時期こそ水道水の反転攻勢が必要だと考えます。 京都市は,京都議定書発祥の地,環境モデル都市でもあります。水道水が環境に優しくエコであることも含めて,子供たちに水道水を飲む習慣を広げたり環境に優しい水道水の特性を生かした利用促進策を検討していく必要があると考えますがいかがでしょうか。御所見をお伺いします。 次に,梅小路公園の再整備を中心とする下京区の魅力を生かした新たな観光エリアの創出についてお尋ね致します。先の帰宅困難者対策の質問にも述べましたが,京都観光は入洛観光客5,000万人を達成し,これからはいよいよ質の向上を目指すため,いよいよ旅の本質へをキャッチフレーズに未来・京都観光振興計画2010+5に基づいて七つのプロジェクトが動き出そうとしております。しかし課題もございます。桜の春と紅葉の秋に観光客が集中していること,マイカーによる渋滞が激しいこと,そして特定の観光地に観光客が集中していることです。京都市の観光調査によりますと,観光客の訪問地ベスト25では,清水寺,嵐山,金閣寺,銀閣寺と続き,我が下京区では16位に京都駅ビル,20位に東本願寺,22位に西本願寺という状況です。清水寺や嵐山,金閣寺に人気があることは私も京都人として誇りに感じておりますが,一方で市内には更に多くの魅力がちりばめられているこの京都のまちを観光客の多くの皆様にまだまだ知っていただけていないことは残念でなりません。何度も申し上げましたが,我が下京のまちでも京都駅を中心に東西の両本願寺,国の名勝である枳殻邸,大門や輪違屋,角屋で有名な島原地区,昨年,区制130周年事業では,五つのコースを設定してスタンプラリーを開催するほど魅力があふれているにもかかわらず十分に光が当たっているとは言えない状況にあります。明治28年の平安建都1100年を記念して創建された平安神宮をはじめ美術館,京都会館,動物園,みやこめっせなどからなる岡崎公園は,今や京都市を代表する文化,観光,スポーツゾーンとして年間500万人もの市民,観光客の皆様方に親しまれておりますが,今年度から更なる活性化を目指してプロジェクトが立ち上がりました。 一方,梅小路公園は,平安建都1200年を記念して緑,歴史と未来などをテーマに整備されたもので,東の岡崎公園,西の梅小路公園を併せて活性化することは,それぞれの地域のみにとどまらず京都のまち全体の活性化につながるものと私は確信しております。こうした観点から,私は今般の梅小路公園の整備に大いに期待を寄せております。水族館についても様々な議論がありますが,本日はそうした議論ではなく,梅小路公園の再整備をいかに下京の活性化に結び付けるか,年間200万人と見込まれる水族館への来場者にどのようにして周辺を回遊していただくかという観点で質問させていただきます。そこでお尋ねします。梅小路公園の再整備を契機とする周辺の新たな観光エリアの創出について,じっくり周辺を歩いて楽しむ,地元商店街や中央卸売市場,京都リサーチパーク,島原地区等との連携により地域の活性化につなげるという観点でどのように取組を進めようとされているのか,現在策定中の次期下京区基本計画における位置付けと併せてお答えください。 最後に,防犯や交通事故の防止など生活の安全を守る取組と地域コミュニティの活性化についてお尋ね致します。先日,生活安全に関するアンケート調査結果が公表されました。京都市が安心で安全と思う市民は5年前より大きく増加し全市民の約3分の2,町内会などの地域が防犯や事故防止面で協力する必要を感じる方は約9割,さらにこうした地域活動への参加者は13パーセント,市民約147万人に換算して19万人に達しています。また地域コミュニティ活性化に関する懇話会の提言は,まず地域力は全国に誇る京都の財産,しかしながら,マンションをはじめ加入率の低下,役員の高齢化などの様々な問題がある。そして地域組織や京都市に専門家派遣制度の充実や担当部署の強化などを提案しています。私は,この二つの報告から感じました。地域コミュニティの弱体化が言われておりますが,やはり京都は地域力,門川市長が常に言われる京都力が強い,そんな京都力こそが市民生活の安全を守るのだと。ここで下京区の事例を二つ御紹介します。地域の安心安全ネットワーク形成事業という京都市の事業があります。自治会などと区役所などが連携して安心安全の取組を応援するものです。この事業をモデル実施された修徳学区では,例えば町内会未加入の世帯を対象に仮想マンション町内会,いわゆるバーチャル町内会というものをお作りになって事業を行われております。町内会のイベント情報などをマンションなどの方に提供して町内会を疑似体験してもらうことによって町内会にお入りいただくという機運を高めるということです。参加された関係者や多くの皆様方からは,みんなの努力によって大成功,継続していく必要があると伺っています。また,NHKで紹介されましたが,有隣学区では独り暮らしの高齢者見守り活動として,ばらの花を朝玄関先に出して夕方にしまうことで安否確認する取組が進められています。こういうばらを朝玄関に出されて夕方しまわれる。それによってそこの高齢者の方は,ああ今日も元気だなというようなことを考えておられるそうです。なお,高齢者だけではなく若い世帯も含めて全世帯がこの取組に協力されて,町内全世帯でこのばらを朝出して夕方しまっておられます。また,このほか同学区の4箇町でもこういったばらや,安心安全と書かれた木札を玄関に掲げておられます。先般のNHKのテレビでも,ある高齢者が表に出されたとき,掛けられた瞬間周りを見られて,ああ,あそこのおばあちゃんもおじいちゃんも今日も元気にばらが出ているんだなと,逆にそういう意味では私がこの家の玄関にばらを掛けることによって,地域の方が私を見守ってくれるんだというきずながこのばらにあるということをコメントしておられました。家から縁側がなくなり,地域の路地から縁台がなくなり縁が薄くなったと言われています。先般テレビでこんなことを言われました。今,縁側,縁台に代わるツールの一つがばらではないでしょうか。私はそう思っています。 以上,二つの事例はほんの一例です。地域では,熱い思いと御努力で様々な取組が行われているのであります。京都市は,今年度,地域の安心安全ネットワークを市内の全学区で立ち上げる予定であり,生活安全基本計画の次期計画も策定されます。そして地域コミュニティ活性化の提言も具体化される予定です。私は,市民の安全を守るには,自治会や地域活動,京都力が大事である。そして,京都市がとりわけ最前線で努力されている区役所が地域活動をバックアップすることが重要であると考えております。少しならお手伝いできる方は相当数おられます。こうした方々の協力が得られれば,地域コミュニティも活性化すると私自身は確信しています。そのためには,これらを支えるための区役所をはじめ京都市の人的支援や予算を充実させることを基本として検討することが必要であります。特に,折角立ち上がった地域の安心安全ネットワークを息長く続けるため,京都市の支援を継続すべきと考えておりますが御所見をお伺い致します。 少し速くお話しさせていただきました。お詫び致します。以上で質問を終わらせていただきますが,私の座右の銘の一つに一生懸命という言葉がございます。今日も一生懸命の余り速くなったことをお詫び申し上げます。何事においても常に一生懸命にをモットーに頑張って参りました。しかし,時として一人で一生懸命に頑張れば頑張るほど疲れることも度々ございました。こんなとき,斎藤茂太さんの楽ラク人生術の中に書かれていましたある言葉が私の心の奥底に響き渡りました。御紹介させていただきます。一生懸命という言葉があります。大変いい言葉ではありますけれども,いい人間関係を作るには一緒に懸命がいいと思うんです。一生懸命ではなくて一緒に懸命がいいんだ。この言葉を目にした瞬間,何かふわっと気持ちが楽になったことを覚えております。門川市長が常々言われる共汗という言葉と一緒に懸命は同じ意味合いではないでしょうか。私自身も引き続き市長さんをはじめとされます行政の皆さん,そして地域の皆さんと一緒に懸命に下京区のため,また京都市政の発展のため精一杯頑張って参りますので,よろしくお願い申し上げます。以上,御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 下村あきら議員の御質問にお答え致します。 震災時における帰宅困難者対策についてでございます。本市の地理に不案内な観光客の皆様方が,大規模な災害に遭遇されましたときに,避難や帰宅をサポートできる方々が身近にいていただくことが非常に心強く安心されることだと思います。そこで本年3月には,市内14商店街の御協力の下に避難や帰宅を支援する情報を提供していただく協定を新たに締結致しました。下村議員から御提案いただきましたとおり,今後も観光客の方々が集中する地域を対象として,商店街などとの協定の締結を進めるとともに,京都駅周辺の29事業所と行政機関により組織されている京都駅周辺防災ネットワーク協議会のような地域組織に対しましても,御協力いただけるよう積極的に働き掛けて参ります。また,帰宅困難者が求める情報を京都市から早急に提供できるよう,昨年6月に全国に先駆けて整備致しました水災害時に避難情報を電子メール等により自主防災会長等幅広い方々に連絡するためのシステムについて,地震発生時においても活用できるよう具体的な方策を検討して参ります。 次に,帰宅困難者対策の訓練と致しましては,現在,京都市総合防災訓練において災害時の支援に関する協定を締結していただいておりますガソリンスタンドにも参画いただき,避難途上の住民にトイレや飲料水の提供をいただく訓練を実施しておりますが,正確で迅速な情報伝達を行うための運用訓練を今年度中に導入するなど事業所,地域などとの積極的な連携を深めながら魅力あふれる観光都市としての質を高めることに併せて,おもてなしの本質である安心安全の京都の実現に向けた取組を強力に推進して参ります。 次に,OB消防団員による消防団活動の支援体制についてでございます。消防署員,消防団員はもとより自主防災組織,事業所等あらゆる市民の方々が結集された京都の防災力は,本市が全国に誇る大きな社会資本の一つであり,大規模災害時には市民と行政が総力を挙げて災害に立ち向かい,その防災力を十二分に発揮し被害の軽減に努めることが極めて重要であり,そうした取組を更に推進していく必要がございます。とりわけ消防団員の皆様は,消防団教育や各種訓練を通じて防火防災に関する専門的知識や技術を有しておられ,災害時はもとより平常時においても地域の安心安全を担う防火防災のリーダーとして御活躍いただいております。また消防団を退団された後も引き続き消防団へのサポートのほか,自治会をはじめとする地域の各種団体においても活躍されるなど,様々な形で地域に貢献し情熱を傾けていただいております。下村議員御指摘のとおり,大規模災害時において市民の皆様の大切な命や財産を守るためには,OB消防団員のマンパワーを生かしていくことが重要であると思います。消防団員として身に付けられた防火防災に関する知識,技術,経験を退団されてからも存分に発揮していただけるよう,消防団の活動を支援していただく仕組みづくりについて検討し,本市が全国に誇る防災力の一層の向上に努めて参ります。 次に,梅小路公園の再整備を中心とする新たな観光エリアの創出についてでございます。京都の玄関口でもある下京のまちは,京都ならではの歴史と文化が脈々と息づき文化財をはじめとする観光資源を多数有し京都を代表する観光地であると認識致しております。その下京に年間200万人の来場者が見込まれ,子供や家族も楽しみながら学べるエデュテイメント施設である水族館が誕生することは,下村議員御指摘の春と秋,そして特定の地域に集中するという京都観光の大きな課題の解消はもとより,観光地としての魅力を更に高め,質の向上を目指す京都観光に大きく寄与するものと大いに期待しており,去る5月14日に都市公園法による公園施設の設置を許可したところであります。この度新たに策定した京都市の観光振興計画の新たな京都ファン獲得プロジェクト推進事業などにも位置付けており,今後地元商店街や中央卸売市場,リサーチパーク地区,島原地区,そのほか各種の文化施設等との連携,融合により地域の力を更に高め水族館を訪れる来場者に下京区の深い魅力を余すところなく発進して参りたいと考えております。具体的には,歩いて楽しむをテーマに水族館と周辺の豊富な観光資源を結ぶルートの設定や,じっくり歩いて五感で堪能していただくための観光案内標識の整備,観光関連団体と連携した多彩な旅行プランやウォーキングコースの開発などを進めて参ります。さらに,この度の水族館は館内に大きなレストランや物販施設を設けず,地域との連携,調和を図ることを目指しておられ,地元商店街等との連携を深めることにより地域の活性化につなげて参ります。また,中央卸売市場において市場の関係者と共に市民や観光客に京都の豊かな食文化に接する機会を提供することをはじめとした取組を進めて参ります。こうした方向性は,今年度中に下京区民の皆さんと議論を深めて策定する予定の新たな下京区基本計画においても,下京区の将来像の中にしっかりと位置付け,梅小路周辺地域の個性や魅力の向上を目指して参ります。今後このような取組を通して,水族館を中心とする地域の回遊性を高め,梅小路周辺を丸ごと楽しめる新たな観光エリアの創出に積極的に一緒に懸命に努めて参ります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは2点についてお答え致します。まず水道水の利用促進についてでございます。節水型社会の進展などによりまして水需要は減少を続けておりまして,本市水道事業におきましてもその経営環境は非常に厳しい状況となっております。このため上下水道局におきましては,企業管理者を先頭に人件費や物品費の削減,企業債の繰上償還などによる支払利息の削減など,様々な企業経営改革を推進致しておるところでございますけれども,併せて議員御指摘のとおり,今後は様々な観点,分野を含めましてより一層収入の根幹を成す水道水の利用促進に取り組んでいく必要があると考えております。京都市の水道水は,議員御紹介のありましたように近年大変おいしくなったとの評価を頂いておるところでございますし,また世界的な脱ペットボトルの動きも御紹介ございましたけれども,水道水はペットボトル水と比べますと,安心安全のための水質検査項目数が3倍の50項目にわたっておりますし,また価格につきましても600分の1,さらにエネルギー消費量が700分の1と環境面においても大変優れた特性を持っているところでございます。地球環境の未来を考えますとき,次世代を担う子供たちにこのように環境に優しい水道水を飲む,使う習慣を広めることを通じまして水の大切さ,環境への意識を高めていくことが大変重要であると考えております。直接給水の御提案もいただきましたけれども,学校等は災害時の避難場所に指定されておりますことなどから,基本的には受水槽方式での給水が必要となっておりますが,御指摘を踏まえまして学校等の新築や大規模改築等を行う際には,水飲み用の水道栓につきましては直結式の給水を導入するよう積極的に検討して参ります。また,今年度は水道水に関する市民意識,利用動向調査を実施致します。使用者ニーズを的確に把握致して参りたいと思っております。あわせまして地球温暖化防止にも効果があり,また昨年市役所の東玄関で試行実施致しまして大変好評を得ましたミスト装置につきましては,動物園など多くの人々が集まる本市施設に設置致しまして,環境に優しい特性をPRすることなどによりまして水道水の利用促進に努めて参ります。 次に,地域における安心安全ネットワークを中心とした地域コミュニティの活性化についてのお尋ねでございます。京都市では,平成16年度から身近な学区単位で連携する地域の安心安全ネットワーク形成事業を開始致しました。この取組は地元の皆様の御努力と熱意によって着実に広がっており,今年度は市内全227学区で立ち上がる予定でございます。こうした結果,議員から御紹介のありましたような取組が各地で広がっておりまして,犯罪や交通事故の件数も一貫して減少しております。あわせて,こうした取組の中で福祉や子育てを含め様々な分野での地域のネットワークが広がり地域コミュニティの活性化にもつながっておりまして,改めて京都の地域の力,京都力の強さを実感しているところでございます。地元の皆様の取組を支援する各学区の安心安全ネットワークに対する京都市からの補助金自体は3年間で終了することとなっておりますけれども,これまでも全体として多くの学区で自主的な活動がその後も引き続き展開していただいているところでございます。議員から行政の支援の重要性について御指摘いただきましたが,今後ともこうした取組が更に発展して地域の安心安全の取組,また地域コミュニティの活性化が進みますように区役所における支援を中心に,各学区の取組に対しまして必要な人的又は財政的支援を継続して参りたいと考えております。具体的には,これまでも大きな評価を頂いておりますまちづくりアドバイザーの充実や新たな形でのモデル事業補助金制度の創設など学区の安心安全ネットワークを定着,更に発展させるための支援メニューを検討致しますとともに,懇話会からいただきました地域コミュニティ活性化に向けた各種の取組の具体化を図って参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕
    ◎副市長(由木文彦) 地下鉄の1日5万人増客に向けた取組についてお答え致します。地下鉄の増客のためには,議員御指摘のとおり利便性とサービス性を向上させ一人でも多くの方が利用したくなるような魅力的な地下鉄にしていくことが肝要であります。このため烏丸御池駅で最終列車が全方向乗り継ぎ可能となるシンデレラクロスの実施や夜間の増便など,積極的な経営姿勢で地下鉄のより一層の利便性の向上に取り組んでいるところであります。加えて,地下鉄をより身近に感じていただくため駅そのものをもっと魅力あるものにしていくことも必要であります。現在リニューアル工事を進めております四条駅は,9月末には心弾むわくわく空間へと生まれ変わることとなります。その他の駅におきましても,それぞれの駅の特性を見きわめながら順次駅ナカビジネスの積極的な拡大を図って参ります。また今年から5月29日を地下鉄の日として市民の皆様に地下鉄に親しんでいただくための多彩な企画を実施致しますほか,7月からはサブウェイ・パフォーマーの演奏活動による駅の新たな魅力とにぎわいの創出に取り組んで参ります。議員御指摘の京都国際マンガミュージアムには,先に実施致しました人気マンガ銀魂のスタンプラリーでも積極的に御協力いただき大変な好評を得たところでございます。今後とも漫画を活用した親しみやすい取組に加えて,動物園や京都コンサートホール等,周辺の文化観光施設とも連携しながら,その最寄駅としての役割を高めるなど駅自体の魅力向上に努めて参ります。5万人増客の目標を達成することは決して容易なことではありません。増客なくして健全化なしとの決意で,こうした取組はもとより新たに設置致しました全庁的な推進本部の体制の下,地下鉄を生かしたまちづくりや観光振興の取組など,市のあらゆる政策を総動員するとともに,幅広い市民の皆様や事業者をはじめとする各界の方々に御理解いただき,積極的な御協力をいただいて増客目標を実現して参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 暫時休憩致します。 〔午前11時33分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(加藤盛司) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 休憩前の一般質問を継続致します。市政一般について,赤阪仁議員に発言を許します。赤阪議員。 〔赤阪仁議員登壇(拍手)〕 ◆(赤阪仁議員) 伏見区選出の赤阪仁です。日本共産党市会議員団を代表して質問を致します。去る4月11日京都府知事選挙が戦われました。政治を更に前に進めたいという皆さんの思いが門氏に30万7,826票もの大きな御支援を寄せていただきました。ありがとうございました。日本共産党は,引き続き全力を挙げて頑張ります。 さて,今問われているのは,命を守る制度の問題です。高い国民健康保険料,子供や高齢者の医療費負担を軽くすること,金のあるなし,また住む地域によって命の格差ができるような事態があってはならないとの市民の願いは切実です。先日,国会で我が党の小池晃議員が京都市の国保料が4人世帯で所得300万円の場合,年44万円,払える水準の保険料と思うかと質問したのに対して,鳩山首相は率直に言って高いと思うと述べ,財源確保に努力したいと答弁しました。今年は,また値上げして45万円です。市長は,本市の国保料は高いという認識はありますか,いかがですか。 私は,3月の予算質疑の中で市内4,200世帯への資格証の発行はやめよ,市民の命を担保にする保険料徴収はやめよ,保険料の滞納処分で預金通帳からの機械的な差押えはやめよと追及しましたが,副市長は保険料の徴収率向上が至上命題と答弁されました。市民の命より徴収率向上を優先するというのでしょうか。先日,75歳を超す御夫婦とその息子さんの3人家族の方から相談がありました。40代の派遣社員の息子さんが心筋梗塞で緊急入院となったものの資格証明書しかない状態でした。父親は入院中です。10割の医療費が支払えないと母親が区役所に相談に行くと,国保滞納額は5万6,000円。半額は納めないと保険証は発行できないと担当者に帰されてしまいました。母親は少ない年金から半額支払い,保険証をもらおうとすると,今度は,4,5月で残りを支払う誓約書を書かないと渡さないと言われ,母親は,残りは6月の年金が入るまで待ってと頼むと,担当者は待てないの一点張りです。仕方なく知人に借金して支払い,ようやく保険証と限度額認定証が発行されたというのです。この方の場合,治療が必要で本来直ちに保険証を発行すべき人です。命を担保に市民に借金をさせ保険証を交付する京都市は異常だと思いませんか。徴収率向上を目指す余り特別な事情を無視した対応は直ちに改めるべきと思いますがどうですか。国会で長妻大臣は,払えるのに払わないということが本当に証明できた場合以外は慎重に取り扱っていただきたいとお願いしていると答弁しています。京都市は,個々の世帯の状況を十分お聴きし,きめ細かな納付相談を行っているとは到底言えません。資格証明書発行は保険証取上げです。正規の国保証を発行することを強く求めますがいかがですか。さらに給与費,年金など生きていくためのお金を差し押さえるという明確な法令違反はやめるべきです。西京区のタクシー運転手の方は,少ない年金のうえに不況でタクシーの水揚げだけでは生活費が足りないので国保料が払えず滞納となりました。19回分割納入したが,それでも払えないので相談に行くと,支払額を増やすようにと逆に言われたそうです。払える見通しがないのに支払だけを求める,これでは窓口相談に行くのをあきらめるのは当然です。その後も届くのは督促状だけでした。そして年金支給日,5万円余りの年金が預金口座に振り込まれた当日,突然の差押えです。この方の場合,昨年の事業所得は38万円,年金収入は年間46万円,生活保護基準の268万4,760円を大きく下回るものであり,差押え禁止対象であることは明らかです。いまだに滞納処分の執行停止も差押えの解除もされていません。わずかな年金まで取り上げる,苦しい市民の首を絞めることは直ちにやめるべきです。京都市は,国税徴収法違反の最低生活維持費の差押えを直ちにやめることを求めます,いかがですか。国保料が高過ぎるから払えないのです。国保料を引き下げるために国の負担率を引き上げるよう国に対して要求すること,そして京都市の独自努力を強め国保料を引き下げるべきですがいかがですか。 次に,京都市立看護短期大学の廃止問題について質問します。2月予算議会で否決されたにもかかわらず,市長は,今議会に市立看護短期大学廃止条例を再提案しています。議会の否決からまだ2箇月もたたないうちに前回提案を無修正で提出するとは,議会も市民の願いも踏みにじるものではありませんか。日本は,今,看護師不足なので市立看護短期大学は必要です。また学費が安いので看護師を目指す人ならだれにでも可能性が開かれているので必要ですとの学生の声に市長は正面からこたえるべきです。看護短大の存続を願う市民の署名は1万7,748筆集まったこと,2月市会での廃止条例案の否決は,多くの市民が看護短期大学の廃止を望んでいないことを示しています。民意を踏まえ佛教大との確認書を白紙撤回したことは,民設民営化という名の廃止方針が破綻したということです。大学の主人公である学生をはじめ教職員,卒業生や保護者,市民等の声も聴かず,市会の議決さえ無視して廃止をあきらめない市長の姿勢は異常と言わざるを得ません。先日の京都市包括外部監査報告にも,看護業務が増大しているにもかかわらず人材不足が深刻で,市直轄の看護短大が廃止されることになれば市立病院の看護師の確保に影響が及ぶことが懸念されると指摘しています。さらに参考意見として,運営努力したうえで仮に採算が合わない場合でも,その重要性と照らし合わせて運営継続の可否を選択すべきとし,採算を犠牲にしても本当に自治体として市民のために残さなければならない事業は,あらゆる角度から検証し厳選して残していく必要があると慎重審議を求めているではありませんか。4月21日の常任委員会では与党議員からも厳しい抗議が続出し,5月市会での提案はすべきでないとの強い発言もありました。理事者がいったん立ち止まって再提案は慎重にと答弁したにもかかわらず,再提案とは納得できません。議会制民主主義を否定する市長の態度は必ず市民の審判が下されるものと指摘しておきます。全国でも例のない公立の看護短期大学の廃止は,京都市民として恥ずべき不名誉な行為です。50年を超える日本で最初の公立の看護短期大学の歴史と伝統を大切にする,全国で活躍する同窓生,看護に関係する団体,公立の4年制化を求めてきた看護協会や看護連盟の陳情,要望を無視するということです。市立看護短期大学廃止条例案は撤回することを求めます。いかがですか。 次に,中小企業支援について質問します。鉄工業を営む奥さんからお話を聞きました。仕事はいつもよりあるのに単価が切り下げられ安い仕事ばっかり。夫の給料にもならず,固定費の支払と雇っている人の生活を守るのに精一杯とのことです。京都の経済の主役であり99パーセントを占める中小零細企業への直接支援が求められています。東京都大田区では中小企業診断士など専門家を派遣し相談を受ける経営革新計画策定支援事業と助成金を給付する経営革新支援事業の二つが取り組まれています。1月から3月まで取り組まれた結果,直接助成は非常に助かった,区の担当者も好意的だった,社長に変化が出て元気になった,仕事ができて廃業の瀬戸際を脱出したと,7割の会社が良かったと答えています。我が党は,国会質疑や党首会談などで,中小業者の皆さんの切実な声を踏まえ仕事がなく倒産のふちにあえいでいる町工場,中小企業に対して緊急の措置として家賃や機械のリース代など固定費への直接補助を行うことを繰り返し求めてきました。4月19日に経済産業省が出した中小企業に対するリース代の支払猶予の通知はその第一歩ですが,中小業者の声が政治を動かしたものです。引き続き国に中小業者の負担軽減策を強めるよう求めると同時に,京都市として固定費補助制度を独自に検討,実施すべきときではありませんか,いかがですか。 帯広市や墨田区では,地域経済活性化のために公共事業の発注率,発注高,雇用の面でも地元住民,業者を最優先にすることを入札業者に求めています。京都市では,学校の地デジテレビの購入についても,第1次分の校長室,職員室などの500台分は群馬県に本社がある大手家電量販店に一括発注しました。大手企業の独占はおかしい,地元業者に分割発注せよと求めますと,地域要件を入れると国際協定違反との指摘があるのでやむを得ないと当局は答えましたが,国会で政府は,他国からの苦情もなく分割発注を制限する指導はしていないと答弁しています。その後の京都市の学校の地デジテレビの入札結果は,地元業者への一定の発注が行われましたが,地元の経済を活性化する中小企業優先,地域優先の制度がまだ不十分です。WTO協定対象の公共事業でも地元中小企業発注率100パーセントを実現しているのは6県,政令市の神戸市では90パーセント台に達しています。京都市の公共事業等の地元発注率の向上のために,入札条件に京都市域に本店を有することなどの地域要件を入れるべきです。地元中小企業の発注額も引き上げ,仕事おこしと地元京都経済の振興を図ることを求めるものです,いかがですか。また地域経済活性化と京都経済の主役である中小企業対策を強めるために,京都中小企業振興条例を今こそ作るべきときでではありませんか,いかがですか。 次に,子供の教育について質問します。小学校2年生の保護者からお聴きしました。現在1学年75人で1クラス25人の3クラス編制,教室に余裕があり,先生の声もみんなの声もしっかり聞こえ,1人1回は発言できています。しかし,3年生になると2クラスに減り,今より1クラス12人も増え37人学級になる。先生の子供一人一人にかかわる時間が全く変わってしまうのは明らかです。心と体が1段階成長する小学校中学年の大切な時期,勉強の内容も難しくなるとき,少人数学級を継続してほしいと願う声は切実です。京都市は小学校1,2年生で35人学級,中学3年生で30人学級を実現してきました。しかし市長が当選して2年,実施学年の拡大もせず,その予定も示していません。昨年の文部科学省の会議でも30人学級は国民的悲願だと第8次教職員定数改善計画が立案されています。今年4月6日の朝日新聞には,子供たちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会という日本PTA全国協議会を中心とした保護者,校長会をはじめとした教職員団体が少人数学級の実現をと訴える全面広告を出しています。その中で,学習面にも生活面にも効果のある少人数学級としてその良さを強調しています。学力世界一のフィンランドの教育が目指したのは1クラス27人の少人数教育で,子供に分かるまで寄り添って教えること,分からない子を作らない教育です。子供同士を競争させない,学校間格差を作らないことを義務教育段階では大切にしていると言われています。京都市も少人数学級実現を目指し35人学級を拡大する計画を直ちに具体化すべきです。同時に国に対して30人以下学級の早期実現を働き掛けるべきです,いかがですか。伏見区の神川中学校では,今年1年生の入学生が388名,全校で35学級の1,115名が集うマンモス校です。隣にある羽束師小学校も新1年生は157人,954人の超マンモス校で,全市で御所南小学校1,117人と学校規模一,二を争っています。小学生を持つお母さんが言いました。神川中学校の地域は住宅建設が盛んで,若い世帯の入居率が高く学校の生徒が増える一方です。共働きの家庭も多く,小学校の学童保育は1年生でほぼ定員が満杯になり,学童に入れない子は,放課後学び教室でPTA本部の保護者が見ています。小学校は3年生から5年生が40人学級で,教室の通路も狭く余裕がありません。中学校は1学年13クラスにもなり,学校行事での我が子の出番はほんのちょっとで寂しいです。地元住民のマンモス校解消の要望に対して,応対した市教委は子供の数は今後10年で減る見通しであり,新しい学校の建設は無理,困難と答弁しました。神川中学に通う三つの小学校の児童は増えておりマンモス校の解消は急務です。自然に子供が減るのを待つことは到底許されるものではありません。子供一人一人を徹底的に大切にするというなら,マンモス校の解消と子供の放課後を豊かにするために直ちに学校の増設をすべきではありませんか。 次に,学校の教職員の働き方についてです。京都市では,昨年度1年間で8人も現職の小中学校の先生が亡くなっています。そのうち11月に3人も先生が急死しています。市長は,子供の命をはぐくむ学校現場で先生が亡くなられるということは異常だという認識はありますか。学校での教職員の多忙さと,その長時間過密労働は,ニュース番組でも特集されるほど深刻な社会問題になっています。先日市教委は,学校における勤務時間の実態を把握するために初めて数校にタイムカードを置き,この3月まで計測しています。12月の中間報告を見ると,授業準備やテストの採点,生徒指導,中学校では部活と生徒指導で夜遅くまでの仕事の実態が浮き彫りになっています。特に問題は,過労死危険領域の時間外勤務,月80時間を超える先生が中学校で32人,高校で14人もおられることです。学校現場での過労死やメンタル疾患の増加を解決することは待ったなしの課題です。市教委主催のメンタルリフレッシュセミナーでの研修会でも,教員の心の病気が増えている原因として,休憩時間も取れないほど教師の事務仕事が増え,自分のことで精一杯で孤立していること,トップダウンの仕事が増え教師の子供と向き合う本来の主体的な仕事ができないという問題があると指摘しています。今年4月9日の市教委の超過勤務の縮減通知で示したように,各学校に管理職を含めた時間外勤務の縮減,勤務時間内の休憩の取得とノー残業デーの設定など具体的な取組を確実に実施するよう指導を徹底することを求めるものです。報告のための調査や文書作成が多い事務仕事を減らし子供たちに正面から向き合える時間を確保することを求めますがいかがですか。二度と先生を過労死に追い込まない決意を求めます。 次に,保護者の教育費負担について質問します。小中学校に公共交通機関で通う子供の交通費についてまず質問します。伏見区の明親小学校に通う上樋爪,樋爪地域の子供たちの毎朝の登校は徒歩でなく,遠くて市バスに頼らざるを得ない状況となっています。この小学校の保護者のバス運賃の負担は,子供1人で年間約3万円,2人で6万円も必要でした。このような遠距離通学で公共交通機関を利用せざるを得ない小学生は全市で約100名,その7割は明親小学校の子供たちです。今年4月から小中学生の1世帯の兄弟分の負担軽減は改善されましたが,明親小学校では9家庭18名分しか対象になりません。京都市の遠距離通学費の助成を受ける子供は,全市で小学生約100名,中学生約300名にも上り,まだ全額保護者負担の児童生徒の実態もあると聞きます。義務教育なのになぜ交通費が保護者負担なのかと保護者の疑問は当然です。京都市は,僻地校だけでなく,東山区の開睛小中学校の開校に伴い子供の通学路の安全のために市バスを無料で利用できるしダイヤの増発も予定していると言いますが当然です。義務教育の学校に通う児童生徒の公共交通の運賃は,憲法と教育基本法第4条にもあるように無償にすべきです。いかがですか。 来年は京都で国民文化祭が開かれます。文化は心の栄養とも言われ,人格形成に大きな影響を与えるものです。ところが京都市では,昨年から小中学生の京都市コンサートホールでの京都市交響楽団の音楽鑑賞会をバスの配車も鑑賞代金も保護者負担として有料にしました。市教委は,最新の音響器具の発達もあり生の演奏がすべてではないとも答弁しました。子供の中には,一生に一回しか交響楽団の演奏を聴く機会がない子もいるのです。本物の貴重な文化に触れる機会を子供たちから奪うことに心が痛みませんか。学校の授業でもない京都子どもジュニア検定には,検定料等総額約1,300万円も公費負担しておきながら,子供たちの音楽鑑賞などに対する約1,300万円の公費負担を切り捨てることは認められません。授業の一環として取り組むものは直ちに公費負担に戻し,すべての学校の子供たちに教育の機会均等を保障することを求めます,いかがですか。 次に,焼却灰溶融炉の問題です。京都市は,4月30日住友重工から焼却灰溶融炉の6月稼働が不可能になったとの報告があったとし,市として6月の本格稼働の延期の判断をしたと発表しました。今回の公表では,昨年12月の試運転開始当初に耐火れんがの損傷と排水処理施設の不具合が発生していたこと,4月5日から実施した第1次性能確認試験において,排水から基準値の15倍から42倍ものダイオキシン類が検出されていたことが明らかになりました。市民の命と安全にかかわる二つの重大な事実が市民や議会に報告もされず隠されていたことは京都市の隠ぺい体質を示すもので,自治体として許される行為ではありません。党議員団は焼却灰溶融炉について,他都市でも耐火れんがの損傷による爆発事故が発生するなど安全性に問題があり導入すべきでないと求めてきました。また総工費180億円,維持費に年間16億円掛かるという税金の無駄遣いの典型であり,不要不急の施設建設は中止をと求めてきました。なぜこのような重大な事実を4月30日まで公表してこなかったのですか。京都市と共に住友重工の責任は極めて重いと言わざるを得ません。京都市は基準を大幅に上回るダイオキシン類が検出された事実を重く受け止め,本格稼働の延期という措置ではなく,焼却灰溶融炉の導入そのものを中止するよう強く求めるものです。いかがですか。 次に,地元伏見区の問題について質問します。桂川西岸神川地域の住民アンケートで,唯一の公共交通機関である市バスの整備を急いでほしいとの強い要望があります。特に京都市住宅供給公社が久我の杜地域を開発し,市バスが便利だと言われて家を購入してきた人たちにとって,年々バスのダイヤは減り不便になるばかりです。田んぼの中に住宅地が広がり,バス停までの距離500メートルの区域内には6割の人しか入りません。さらに地下鉄竹田駅から帰る最終バスは9時台で,結局JR長岡京駅から最終10時11分の南2番に乗るか,タクシーで2,000円近く掛けて帰るしかありません。日曜日の早朝の出勤,通学には始発バスのダイヤが遅く,京都駅,三条京阪など市内中心部への直通バスも廃止され乗り継ぎが多くなり,結局家族の自動車の世話にならざるを得ません。1時間に1本か2時間に1本のバスのダイヤでは使い勝手が悪いから住民は利用できないのです。増便して便利なバスにしてこそ乗客増につながります。いかがですか。 最後に,普天間基地問題についてです。鳩山政権の当てのない普天間基地の移転先探しは,民主党政権の破綻と行き詰まりを示すものとなっています。そもそも戦後,米軍が沖縄を占領したときに,島民の暮らす家や学校,お墓や畑をブルドーザーでつぶして造ったのが沖縄の米軍基地です。普天間飛行場の周囲には,9万人の市民が居住し121箇所の公共施設があります。米国の法律では決して存在が許されない危険な基地です。住宅地の上をヘリコプターが緊急発進する訓練を毎日朝7時から夜11時まで行っているのですから,住民は騒音といつ落ちてくるか不安な毎日に置かれているのです。米軍は自由で,沖縄の人々は自分たちの島に住みながら不自由をしているのですから,全国どこに行っても反対されるのは当然です。普天間の苦しみは私たち日本国民の苦しみです。今,沖縄県民の戦いは,例え安保条約という鎖はあったとしても,普天間基地の無条件撤去という決断を日米両政府に厳しく迫っているのです。我が国には,戦争直後の全面占領期に造られた米軍基地の大きな部分がいまだに133箇所も置かれています。その面積は東京23区の1.7倍,ソ連が崩壊した90年に海外配備されていた米軍総数は半分以下に,ヨーロッパに駐留する米兵は3分の1以下に,アジアでも在韓米軍は4割が削減されているのに,日本に駐留する米兵はほとんど変わらないという主権国家にあるまじき異常さです。市長として普天間基地の無条件撤去こそ国に求めるべきと考えますがいかがですか。 以上,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 赤阪仁議員の御質問にお答え致します。 京都市立看護短期大学の廃止条例についてでございます。私は,佛教大学との連携協力の枠組を前提として先の2月市会定例会において市立看護短期大学の廃止条例を提案致しましたが,佛教大学との連携に至る経過等につきまして,市会や市民の皆様への説明が十分に果たせなかったことなどから否決されましたことについては真摯に受け止め,今後の私の市政推進に当たっての大きな教訓,反省として参ります。 この議案の否決を受けまして,この度佛教大学との連携協力の枠組を完全に白紙撤回致しました。そのうえで今後の対応を検討したところでございますが,京都光華女子大学と佛教大学のほかに,新たに同志社大学や花園大学など市内私立大学による4年制の看護学科設置の動きが更に加速していることや,本市の厳しさを増す財政状況を踏まえますと,多額の税金を投じ,なおかつこれらの大学と競合する公立での4年制化ではなく,広く市内私立大学と連携協力して看護教育の充実及び質の高い看護師の確保を図っていくことが最適であると判断したものでございます。そこで,透明性,公正性を確保しつつ4年制の看護学科を設置している,又は設置しようとしている市内私立大学との新たな協力体制を構築し,併せて今年度当初予算において創設を予定しております看護師修学資金融資制度等により医療の高度化や専門化に対応できる看護師の養成及び京都市立病院をはじめとする市内医療機関での質の高い看護師の確保を図ることと致しました。このことから,改めて本市会に市立看護短期大学の廃止条例を提案させていただいたものであり,よろしく御理解のうえ御議決賜りますようお願い申し上げます。 次に,中小企業支援についてお答え致します。本市中小企業は,依然として厳しい経営環境にあると認識しており,これまでから京都市では,国の信用保証制度を活用しつつ全国でもトップレベルの融資制度により中小企業支援に全力傾注して参りました。加えて,昨年12月に制定された中小企業金融円滑化法により中小企業の負担軽減が図られているところでありますが,今後更に国に対して金融支援策の充実を求めて参ります。なお,中小企業の固定費については,従来から申し上げておりますとおり本来経済活動において個々の事業者が補てんすべきもので補助としてなじまないものと考えております。また,本市公共事業につきましては,法令の制約のある政府調達協定の対象となる案件などを除き,京都市域に本店があることを条件として市内中小事業者へ発注しております。その結果,市内中小事業者との契約件数は,平成21年度においても引き続き8割を超える高い比率を維持しており,成果が上がっているものと考えております。 次に,中小企業振興条例についてのお尋ねでございますが,現在国が中小企業政策の基本理念として制定を進めている中小企業憲章の内容を十分に踏まえ,中小企業振興を柱の一つとした仮称でございますが新京都市産業振興ビジョンこれを年度内に制定して参ります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは国民健康保険料ほかの問題についてお答え致します。まず国民健康保険料についてでございます。国民健康保険の保険料は,その事業運営の基幹的な財源であり,すべての被保険者の皆様に公平に負担していただくことが制度存立の前提であります。その額は支払能力を勘案し前年所得に応じて決定しているところでございますが,議員御指摘のように,所得に対してかなり高額になっております。被保険者の皆様の負担は限界に達しつつあると認識を致しております。こうした中,平成22年度の国保事業におきましては,大変厳しい本市の財政状況下ではございますが,一般会計から繰入金として法定分の65億円に加えまして,本市独自に市民の皆さんの貴重な税金を投じて,前年度を2億円上回る76億円もの巨額の財政支援を行い,総額141億円を繰り入れることによりまして可能な限り保険料の引上げを抑制したところでございます。21年度決算見込みにおきまして82億円という大きな累積赤字を抱える本市国保の危機的な現状,また毎年増え続けます医療費等の動向等をかんがみますと,保険料引下げを実施できる状況にはなく,引き続き国に対しましては抜本的な制度改革と共に,それまでの間も含めまして財政措置の拡充を強く要望して参ります。また,十分な支払能力がありながら特別な理由もなく保険料を滞納している方に対しましては,法令に基づき差押え等の滞納処分を実施致しますことは,被保険者の皆様の負担の公平性の観点からもやむを得ないものと考えております。なお,本市では当然のことではありますが,議員御指摘のような法令違反の差押えはございませんし,やむなく差押えを実施する際にも,それまでに面接通知や差押え予告を送付し個々の世帯の状況等を把握する機会を設けるなど,できるだけ丁寧な対応を行っているところであります。もし法令に違反し問題になるような事案があれば,それは検証,検討していく必要があると考えております。 次に,普天間基地についての御質問でございます。普天間飛行場をはじめとする米軍基地の再編につきましては,我が国の安全保障にかかわる外交上の重要問題でありますが,同時に米軍施設のある地域におきましては,住民の皆さんの生命安全にかかわる極めて重大な問題であると認識を致しております。今後,沖縄県などの現状と住民の皆さんの切実な願いを踏まえ,国において適切な対応策が講じられることを私どもと致しましても願っているところでございます。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 坪内環境政策局長。 〔坪内環境政策局長登壇〕 ◎環境政策局長(坪内俊明) 焼却灰溶融施設についてでございます。建設中の焼却灰溶融施設におきまして試運転中の排水から基準値を超えるダイオキシン類が検出されたため,その排水が下水道に流出していないことを確認するとともに,請負業者である住友重機械工業株式会社にすぐさま調査を指示し,4月26日に正式な報告を受けたところであります。本市と致しましては,この報告を受け原因の究明と抜本的な対策を講じるため6月からの稼働を延期する必要があると判断し,直ちにその旨を議会や地元の皆様に御報告させていただきました。今回の履行遅延はすべて住友重工の責任によるものであるため,竣工期限を超えても工事を継続させ遅延期間については遅延損害金を請求致します。現在,住友重工において有識者や本市職員も参加した対策チームを設置し原因究明と対策の検討を行っており,その改善策に基づいた万全の対策を講じ,安全性の確保を確認したうえで施設を稼働させて参ります。 ○議長(加藤盛司) 中島保健福祉局長。 〔中島保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(中島康雄) 国民健康保険証の発行についてでございます。本市では,保険料の納付が困難な方などに対しましては,減免制度の活用を含めたきめ細かな納付相談を行っております。そのうえで納付意思を示されず特別な理由もなく長期にわたって保険料を滞納されている方に対し,法令に基づき資格証明書を交付することは,被保険者の皆様の負担の公平性の観点からもやむを得ないものと考えております。なお,本市では,これまでから傷病をはじめ失業や事業の休廃止など特別な事情がある場合については資格証明書に代えて短期証を交付しており,機械的一律の対応は行っておりません。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 葛西公営企業管理者。 〔葛西公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(葛西宗久) 伏見区西部のバス路線についてでございます。神川,久我の杜地域におきましては,22号と南2号の二つの系統を運行し,その収支が大変厳しい状況ではございますが,これまで地下鉄,京阪,JRの各鉄道駅へ接続する等必要な路線の充実に努めてきたところであり,御指摘のような不便になるばかりとの状況にはないと考えております。特に南2系統におきましては,平成18年3月にJR長岡京駅への乗入れをすべての便に拡大し,更にその後増便を行う等利便性の向上に努めて参ったところでございます。今後とも地域の実情を十分に踏まえ,鋭意取組を進めて参りたいと考えております。どうぞ地域の皆様におかれましては,より一層の市バスの御利用をよろしくお願い申し上げます。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 教育問題についてお答え致します。少人数学級についてでありますが,本市では,既に小学校1,2年生での35人学級,中学校3年生での30人学級を実施するなど毎年独自予算で約10億円を投じて全国トップレベルの少人数教育を推進しています。30人学級を本市独自にすべての小中学校全学年で実施するには毎年約80億円もの巨額の財源を要するため,その実施は困難であります。今後とも法律で定められております40人の学級編制基準の引下げなど教員定数の抜本的な改善を,引き続き国や京都府に対して強く要望して参ります。 次に,神川中学校及び隣接する羽束師小学校の児童生徒数増への対応についてでありますが,平成15年度に神川中学校に8教室,平成19年度に羽束師小学校に5教室を増設し,平成20年度には神川中学校の運動場を約2倍に拡張するなど両校の教育環境の整備を図ってきております。さらに今年度羽束師小学校の教室としても活用することを想定して神川中学校16教室の増築に着手する予定であり,着実に必要な施設の整備を進めてきております。今後とも児童生徒数の推移を見極めつつ自治会等で組織されたまちづくり協議会等の御意見もお伺いしながら,より良い教育環境の整備に努めて参ります。 次に,教員の時間外勤務縮減についてでありますが,本市の抽出調査では残業時間は全国平均を上回る月平均40時間程度となっており,多様化する教育課題の克服に向け日夜多くの教員が熱意あふれる取組を進めてきております。そうした状況の下,本市では健康相談窓口の設置や健康管理医の全校での配置など教職員の健康の保持増進はもとより,これまでから小中学校の少人数教育の実施や全小学校への専科教員の配置等教員加配による勤務条件の改善,ノー残業デーなどの設定,校内会議の見直しや研修の精選,電算化等による教員の事務の省力化等を進めております。今後ともこうした取組を進め,子供たちや保護者の期待にこたえられる教育の充実を図って参ります。 次に,遠距離通学費の補助についてでありますが,本市では,これまでから就学援助を受給している児童生徒には通学費の全額を,それ以外の児童生徒につきましても市バスの均一区間定期運賃を超える分を補助し,平成2年(後刻訂正)以降2度の運賃の値上げに際しても,保護者負担を増やさないよう極力対応してきたところであります。全員の通学費を公費負担すべきとの御提案ではありますが,そうした考えに立つことはできませんが,長年の保護者等からの御要望も踏まえ本年度から補助対象の児童生徒が2人以上おられる御家庭につきまして,2人目以降を全額補助する新たな軽減制度を設けております。 最後になりますが,学校教育における経費負担についてであります。修学旅行や校外活動,芸術鑑賞などに要する経費につきましては,従来から保護者負担を原則と致しております。そうした考えの下,御指摘の京都市交響楽団による小学生音楽鑑賞教室につきましても昨年度より全校参加から希望参加に見直しを図り保護者負担をお願いしているところでありますが,公費負担を行うことにより鑑賞料をできる限り低額になるよう努めております。さらに今年度は,本市の音楽文化振興の観点から京都市音楽芸術文化振興財団の協力や民間の御協賛を得て一層の保護者負担の軽減を図る予定であります。以上であります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 次に,市政一般について,宮田えりこ議員に発言を許します。宮田議員。 〔宮田えりこ議員登壇(拍手)〕 ◆(宮田えりこ議員) 山科区選出の宮田えりこです。日本共産党市会議員団を代表し市政一般について,市長並びに理事者にお聞き致します。 まず,梅小路公園へのオリックス不動産の水族館計画についてです。4月23日にオリックスから水族館の設置許可を求める申請が出されましたが,市長は,広範な市民の反対の声を無視して5月14日一方的に許可を下ろしました。3月と4月に開かれた京都市とオリックス主催の地元説明会では,公園は今のままでいい,水族館は要らない,計画を白紙になどの意見が相次ぎ,駐車場整備に伴う京都市の財政負担や交通アクセスはどうなるのか,環境モデル都市京都に大量のCO2を排出する施設が生まれることについてなどの疑問や質問にまともな回答はありませんでした。七条通に面した石畳の広場の大半をつぶして駐車場を造る整備計画案が突然浮上する中で,公園を日常的に利用している周辺住民から大きな怒りの声が上がっています。また,オリックスの土地使用料は半額程度で良いとの京都市方針に対し,与党議員からも納得できない,しっかり取るべきだとの意見が出ているほどです。京都市の将来に大きな影響を与える水族館計画について,地元や市民への説明も納得も不十分なままで,一方的に設置許可を下ろしたことは絶対許せません。そこで市長にお聞きします。どの説明会でも水族館計画に反対する意見が多数出されていましたが,市長は,その声をどのように受け止められたのですか。なぜオリックスの声は聴いても水族館計画に反対する多数の市民の声が聴けないのですか。一方的な設置許可は撤回すべきです。いかがですか,お答えください。 次に,保育について質問します。夫の給料が激減,働かなければ生活が維持できない,16の認可保育所や認可外のベビーホテルを探したが空きがなく職場を心配しつつ育児休業を延長したなど,深刻な不況の下,全国的に保育ニーズは高まり働き続けられる環境の整備が急がれます。入れない保育所,入所できても定員オーバーが公立で3割,民間で6割と子供も保育士もゆとりがない,5人に1人の保育士が体の不調を訴えているとの全国の事態は深刻です。これまでの政府方針である規制緩和,民間委託によるお金を掛けないで乗り切るやり方の破綻は明らかです。必要な認可保育所の抜本的増設,保育環境の向上,保育士の労働条件改善で安心して預けられる保育所が必要なこのときに京都市は何をしたでしょうか。今年度,職員給与や労働条件の引下げ,ひいては子供たちの保育環境の質を下げることにつながる民間保育園への補助金,プール制の見直しを強行しました。224箇園のうち70以上で補助金削減となる内容です。その額の大きい園での話を市長は御存じですか。私はお話を聞かせていただきました。今でも子供を定員より25パーセント多く受け入れ無理がある。子供の育ちを考えればこれ以上増やせないが,運営上は受入れが必要,頭を抱えている。子供を受け入れれば保育士も必要だけれど削減額が大きく非常勤を雇うことさえちゅうちょする。職員の勤続年数が長くなれば園の負担が増える仕組み,若手に変えた方が運営上は楽になるがベテランなしでは保育は回せないという声です。理事者は,プール制見直しの説明や議論の中で,保育の質は低下させないと言いました。しかし,プール制で支えられてきた全国に誇るべき京都市の保育環境が今回の見直しで音を立てて崩れてしまうことは明白です。たくさんの児童の受入れも先生方の労働条件の悪化も,結局子供にすべて返ってきます。そのような事態を招いていることについて市長はどう認識しておられますか,まずお聞かせください。そして今からでも遅くはありません。プール制の見直しをやめ,元の制度に戻すべきです。そして元に戻したうえで補助金の増額が必要です,いかがですか。 さらに国では,保育の質の低下を加速させる規制緩和の動きを強めています。現在衆議院で審議中の地域主権一括法案は,保育所など児童福祉施設において国の最低基準より低い基準を地方の条例で決められることを明記しました。最低基準の最低とは,最低賃金のようにこれより下回っては人間らしい生活が営めないことを意味する言葉です。ゼロ歳から6歳の子供たちが朝から夕方まで過ごす施設が基準の切下げにより園庭がない高層ビル内でも保育所が設置できる,給食調理が外部に委託される,耐火基準も示さず避難を速やかにする2階からの滑り台もなくなるとの事態さえ招くものであります。これでは健やかな発達のみならず安全や命までも脅かされます。法案審議で大臣は,自治体独自の創意工夫を可能にする見直しと説明しましたが,参考人となった帝京大学教授の村山氏は,最低基準は国が財政保障を行い国の基準以上のことは自治体が独自性を発揮していく仕組みに既になっていると述べ,この法が成立すれば国が財政保障の責任を地方へ押し付けるだけであると明確に述べられました。ただでさえ先進国で最も低い水準にとどまっている日本の保育の最低基準は,60年前の制定以来大きく変わっていません。東京都は,独自に国基準以下の保育所を認めていますが,常時火を使う飲食店の上の階に保育所が,階段が急で転落事故が発生と問題になっています。これを全国に広げてはなりません。京都市は,国が保育に関する責任を果たすよう現行の最低基準を堅持すること,低すぎる基準の拡充こそ必要だと求めるべきです。お答えください。 続いて子供の医療費について質問します。この間,舞鶴市,綾部市が次々と対象年齢を拡大し,いよいよ京都府内では,通院で3歳以下200円という府の基準に一切上乗せしない自治体はここ京都市だけとなりました。3歳以下なら小児科,耳鼻科など,それぞれで通院は月200円の負担のみですが,誕生日の日から2割負担です。あるお母さんは,気管支が弱く入院歴もある子供が3歳になったばかりのころ,発熱し新型インフルエンザも流行中で病院に飛んでいった。風邪だ言われて一安心していたら,会計で診察と薬代で4,200円と言われショックを受けた。夫婦とも安月給。お金が気になりすぐ行けないときも出ている。しんどい子供を前に,そんなことでやきもきしないといけないのは本当につらいと話されました。本当に切実です。先の京都府知事選挙では,現知事もマニフェストに通院についても小学校を中心に対象を拡大と書かざるを得ませんでした。23年度市町村と協議,24年度以降に結果を踏まえ実施と示しましたが,いつになるのかはっきりしません。市長,子供たちの健康と命が懸かっています。京都府での予算化待ちにせず,今すぐ通院月200円の対象年齢を拡大すべきです。いかがですか。また,子供の医療費無料化を国の制度にと求めた我が党のこくた恵二衆議院議員の質問に対し,首相は優先課題として扱いたいテーマと前向きに答えました。今こそ国に対し子供の医療費無料化を国の制度として創設するよう強く要望すべきです。いかがですか。 次に,児童館学童保育事業について質問します。学童保育は,放課後や夏休みなどに,共働きや一人親家庭の小学生にとって家庭に代わる役割を果たすため,本市では1,2,3年生を対象に主に児童館で実施されています。子供たちはただいまと言って帰ってきます。現在小学校区は177です。130館を目標に整備してきましたが,小学校から30分も掛かる,狭い部屋で遊んだり勉強したりで宿題は大体せずに帰ってくる,何よりけがが増えている,1年生だけで定員いっぱいで申し込めないなど課題も山積しています。今後の目標はと言うと,施設数は130館のまま,26年度までで登録児童数のみ870人増やす計画となっています。今,山間部を除き24の小学校区では児童館も分室もありません。入所を申し込まなければ待機児としてカウントされませんが,定員いっぱいと聞き申し込めなかったなどの声もなくならず,実際のニーズは京都市が把握する待機児童数の見込み現在50人より多いのが実態です。何より実際の待機児童数を把握することが必要です。そして,希望する子供たちが全員入所できるように新しい施設の建設を進めることを求めます。いかがですか。また,今後の待機児解消は,職員体制も設備も不十分な分室で対応しないことが必要です。山科では,長年の地元の強い要望が実り,4月末に安朱学区に山階児童館安朱分室が開館しました。場所は小学校のすぐ裏,今まで20分以上歩いて通っていたので喜ばれていますが,室内40平方メートル,5メートル,8メートルの40平方メートルですが,屋外合わせて100平方メートルに登録児童が既に26人,職員は正規とアルバイトが一人ずつ。近くなるなら通わせたいとの声も出ていますが,これ以上は安全上もこたえられません。2年間の臨時的対応であるはずの分室が恒常化するような所については,早期に児童館としての整備を進めることが必要です。いかがですか。加えて学童指導員には,安全の確保や情緒の安定を図る,家庭との日常的な連絡,情報交換,児童虐待の早期発見など高い専門性の発揮が求められています。しかし,その労働条件は劣悪で,賃金は初任給で11万円,10年たっても15万円程度という低さです。また6時半までの開館時間で勤務時間も6時半ですが,お迎えの親との会話は大切です。片付けも済ませれば7時にはなります。低い賃金のうえに実態を反映していない労働条件とはひどすぎます。専門性にふさわしい労働条件となるよう早急な改善が必要です。いかがですか。根本には,国の公的責任や予算措置のあいまいさがあります。学童保育のガイドラインを保育の最低基準並みに拘束力を持ったものとなるよう格上げすること,年間1,000万円以上は必要な運営費を半分前後とする実態と懸け離れた国の補助基準の見直しが必要です。国は,学童保育制度の見直しを検討中で,事業の安定性,継続性が損なわれるようなことも掲げており関係者は懸念を抱いておられます。国に対しそのような見直しを行うべきではないこと,予算措置の明確化,最低基準の設置,予算の増額を行うよう求めるべきです。いかがですか。 次に,深刻さの増す介護保険についてお聞きします。夫は88歳,生活全般で介護が必要,息子は心臓病と糖尿病の進行で両足がなく,労働はおろか生活の自立さえ困難。妻であり母親である84歳の女性が介護の担い手ですが,夫はデイサービス利用を好まず,特別養護老人ホームの入所も皆目見当が付かないと聞いている。いつまでこの生活が続くのか私の方がもたないと話されます。また,別の老老介護で自らの持病とも闘いながら生計も介護も主体を担っておられる70歳代の女性は,あれこれサービスを選ぶ経済的余裕などないと話されました。サービスや施設が足りない,限度額を超えれば全額自己負担,必要なサービスが受けられないなどの問題を現在の介護保険制度は解決できません。老老介護で共倒れ寸前,利用料が高くサービスが使えないなど,市長は先に述べたような市民の厳しい介護生活をどうお考えですか。家族介護者が共倒れすることのないよう,必要なサービスを受けられるよう特別養護老人ホームへの入所希望者の待機解消を期日を明確にして取り組むことを求めます。いかがですか。また老老介護,二重介護の実態を京都市が直接把握し,経済的困難を伴うケースに対しては具体的な解決策を講じることが必要です。いかがですかお答えください。この制度の根本問題は,利用増やスタッフの労働条件改善が直ちに低所得者まで含め保険料,利用料が連動して値上げする点にあります。3年ごとの保険料値上げも負担は限界です。政府自身も昨年4月からの介護報酬引上げに当たり,人材不足の改善,保険料値上げ抑制にと,これまで自治体に厳しく禁じてきた介護保険会計への一般財源の繰入れを決めました。従来の枠組の破綻は明確です。国では,見直しに向けた議論が進行中です。安心できる介護保険制度を実現するために決定的となる国庫負担の大幅な増額を求めることが必要だと考えますが,いかがですか。 次に,文化行政にかかわって,岡崎にある京都市美術館についてお聞きします。本市美術館は,日本で2番目の大規模公立美術館として設立,間もなく開館80周年を迎えます。所蔵作品は約2,300点,小野竹橋,上村松園など日本画の革新,近代洋画の確立に一翼を担った京都画壇の作品がベースで,京都画壇の歴史をひもとけば日本の美術や文化,果ては東洋美術の源流にもつながると言われています。岡崎公園にある美術館は,近代以降の日本美術を語るうえで欠かせない文化の拠点です。そこでお聞きします。市長の京都市美術館に対する認識をまずお聞かせください。また,2006年本市が行った京都の芸術文化についての市政総合アンケートでは,機会があれば京都の文化芸術に触れ楽しみたい,非常に興味があると答えた方が合計86.4パーセント。30から40歳代や女性でニーズが高く,きっかけ次第で子供たちを含め文化芸術の担い手が広がる土台があります。開館80周年を迎えるに当たり,この間進められてきた収蔵庫の防水対策,展示室の温度湿度の管理,トイレなど設備の老朽改修にとどまらない来館者やファン層の拡大を図るべく機能や魅力をアップさせる知恵と工夫が必要です。美術館の特徴は何と言っても収蔵品,コレクションにあります。松園さんのあの絵はいつ見られるのかなど代表作を見たいとの要望は強くあります。現在のテーマを設けた年4期のコレクション展とは別に,京都の美術史が果たしてきた役割を時代の流れを追って学べるような常設展示も必要だと考えます。そして一体に,まずは気軽に市民にも入洛者にも来館してもらえる工夫が必要です。見ただけでは理解し難い作品もいっぱいあります。でも学芸員の作品解説を聴き,この作品の背景にそんな歴史や見方があるとは知らなかったと一気に興味がわいたという話はよく聞きます。体験型講座,ワークショップも創作活動の魅力,幅広い世代に気軽に伝えてくれます。開館時間も要望を聞きます。京都市美術館は,現在入場は4時半までですが,千葉市や福岡市は金,土は8時まで,7,8月は19時半までと仕事帰りでも行けるようになっています。市民にとっても美術館が日常生活の一部となるよう代表作展示など収蔵展の充実,教育普及の充実や開館時間の延長を求めます。いかがですか。また京都会館横にある美術館別館ももっと活用して,評価が定まらないけれどもおもしろい,注目されている色々な作家や展示も取り扱っていただきたいと思っています。それには学芸員などの専門家の増員も必要です。要望致します。岡崎エリア活性化プロジェクトも始まりますが,京都会館,動物園,グラウンドとそれぞれが道路で分断され行き来がしにくくなっています。歩行者天国にすることも一つと考えます。京都市美術館を含め岡崎公園が歴史と伝統,新しい表現や流れをスポーツを含めて発信する拠点となるよう要望致します。 次に,山科の交通まちづくりの問題についてお聞きします。山科地域は1998年に東西線が開通後,京阪バスが走るのみ,市バスが全く走らない地域となってしまいました。地下鉄沿線は便利でも,買物,役所への手続,銭湯,通院など生活に必要な移動が大変困難で,乗換えなしで駅や役所に行きたい,循環バス路線をなど,山科各地からこれまでも何度も交通局や京阪バスに署名や要望書が出されています。鏡山学区では,市民の会と自治連合会からの4,118筆の署名を京阪バスと京都市へ提出。急勾配の小金塚地域では特にバスが住民の生活維持に欠かせないと位置付けられ具体化に向けたアンケートが進行中です。小型循環バスくるり200は運動が広がり山科駅への乗入れ等が実現しましたが,路線は1本,走っているのは9時半から16時半と通勤には役に立たず,時間延長などを求めた運動が続いています。そして,これらの要望を実現するための課題も今はっきりしてきているのです。市バスを廃止し京阪バスだけにしたのは京都市です。要望は伝えている,今後も真摯に対応すると管理者はこれまで答弁してきましたが,京都市は,区民の足を守り要望を実現する責任があると考えますがいかがですか。今年度予算では,区政策提案事業として山科区交通問題研究会の設立が掲げられています。設立に当たっては住民の声がしっかりと反映されるよう利用者や住民の代表を加えること,具体的な交通改善を目標とすべきです。いかがですかお答えください。 以上を求めまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 宮田えりこ議員の御質問にお答え致します。 京都水族館計画についてでございます。梅小路公園における水族館の設置につきましては,約2年前の平成20年7月に民間事業者から提案を受けて以来,学識経験者や市民の代表等で構成される第三者委員会,京都水族館整備構想検討委員会から頂いた一定の条件を付したうえで設置許可を行うことは妥当との答申を踏まえ,また市民の皆様に梅小路公園の再整備の考え方を説明させていただきながら,しっかりと時間を掛けて検討を重ねて参りました。この度の水族案計画は,いのちの森や芝生広場と一体となって多様な生物の命の輝き,つながりを体感できる都会のオアシスとしての梅小路公園の機能を一層高めるものであり,また様々な体験学習プログラムによりまして大人から子供まで地球環境問題について学習でき,加えて生物多様性への貢献,教育研究の場ともなる環境共生型の水族館であります。さらに今回の水族館設置により,本市への1億1,000万円を超える直接の財政効果と共に民間における多くの雇用の場が新たに生まれるなど,初年度で218億円にも上る経済的な波及効果が期待できるものであることなどから,これらを総合的に勘案し5月14日付けで環境負荷の低減や緑化推進をはじめとする必要な条件をきっちりと付したうえで,都市公園法に基づく設置許可を行ったものであります。今後とも市会をはじめ市民の皆様や有識者の方々などからの広範な御意見を頂きながら市民の皆様に喜んでいただけるすばらしい梅小路公園となるよう全庁挙げて,また市民の皆さんの御協力を得て全力で取り組んで参ります。 次に,京都市美術館についてでございます。京都市美術館は,多くの市民の皆様の寄付を得て昭和8年に開館して以来,京都画壇のコレクションをはじめ大規模巡回展や公募展,海外展の会場として,京都のみならず日本美術界における文化の拠点として極めて大きな役割を果たして参りました。そうした中で,市民に親しまれ景観に調和した貴重な近代建築である建物を生かし,順次展示機能の充実や収蔵庫の整備等に取り組んでおります。今後も展覧会の企画の充実や美術館友の会活動の一層の活性化,市内全児童へ配付した京都市美術館探検パスポートの活用など美術館の魅力アップにつながる取組を強力に進めて参ります。なお,開館時間の延長につきましては,これまでの実績も踏まえて検討して参ります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からはプール制についてお答え致します。保育園のプール制につきましては,民間保育園の保育水準の維持向上のため約40億円という大きな予算を計上している京都市独自の制度でございます。この度保育を巡る社会状況の変化の下で,子供の最善の利益を基本視点としてまとめられました京都市プール制検討委員会の答申に基づき,京都市と保育園連盟との協議によりまして,この4月から民間保育園の主体的な経営の促進やバランスの取れた職員配置を目指した新プール制を発足させたところであり,現在円滑な事業運営を図るべく制度の詳細について検討を進めているところでございます。議員から一部補助金減額の園についての御指摘がございましたけれども,プール制の補助金総額については40億円を維持しておりまして,多くの保育園では増額となるものでございます。京都市と致しましては,この制度の下で民間保育園ならではの柔軟な運営と創意工夫がより一層発揮され,昨今の様々な保育ニーズにこたえる形で,その保育水準の更なる向上につながるものと考えております。よろしく御理解のほどお願い申し上げます。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕 ◎副市長(由木文彦) 山科地域の交通課題についてお答え申し上げます。山科地域におきましては,地下鉄東西線開業に伴う京阪バスへの運行の一元化以降,区民の皆様からの御要望については交通局が誠意を持って京阪バスに伝え,これまでに議員からもお話ございましたように,くるり200の山科駅乗入れ等を含め数々の改善が行われてきたところであります。今後とも引き続き誠意ある対応に努めて参ります。 また,今年度山科区において立ち上げます交通問題研究会では,地元の団体はもとより学識経験者,関係機関など幅広い方々に参画いただき,また市民委員の公募も行って区民の皆様の御意見を十分お聴きしながら,地下鉄増客も視野に入れ区内の交通問題の解決に向けた具体的な対策を検討して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 谷口子育て支援政策監。 〔谷口子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(谷口義隆) 私からは4点についてお答え致します。まず保育所の最低基準についてでございます。いわゆる地域主権改革推進一括法案において福祉施設の最低基準を地方自治体自らが条例で定めることになる改正につきましては,自治体の自主性を強化し自由度の拡大を図る観点から評価すべきものと考えております。一方,本市におきましては,国基準を上回る職員配置基準の改善を独自に行っている現状があり,現行の保育水準を維持するためには十分な財源保障が必要であることから,引き続き国に対し強く要望を行って参ります。 次に,児童館の整備などについてでございます。次代の京都を担う子供たちの健全な育成を図っていくことは本市の最重要施策の一つであります。このため平成22年3月に策定致しました京都市未来こどもプランに掲げた学童クラブ事業の待機児童ゼロを目指し,一元化児童館130館の整備の早期完了や放課後ほっと広場の開設を進めて参ります。なお,緊急対応としての児童館分室につきましては,今後学童クラブ事業と放課後まなび教室との連携をも踏まえ総合的な放課後児童対策の中でその在り方を検討して参ります。 次に,児童厚生員,指導員の処遇の改善についてでございます。昼間留守家庭児童を対象とした学童クラブ事業は,放課後の家庭に代わる生活の場であり,職員には一定の知識,経験が必要であります。このため,これまでから実施しております職員の資質向上を図るための職員研修を引き続き充実させて参ります。また職員処遇につきましては,これまで勤務時間の延長等に伴い改善を行ってきたところであり,初任給は14万円以上,平均年収についても300万円を超えており,更なる改善は本市の厳しい財政事情の下では困難な状況であります。 次に,学童クラブ事業に係る国の検討状況についてでございます。現在国の社会保障審議会少子化対策特別部会におきまして,児童の放課後の安心安全な居場所づくりを積極的に推進するため,学童クラブ事業の量的拡大等について議論されておりますが,現時点におきましては詳細は明らかにされておりません。今後とも国に対しましては,現行の学童クラブ事業の実施に要する十分な国庫補助の充実を引き続き求めて参ります。なお設置基準等につきましては,本市独自に定めて取り組んでいるところでございます。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 中島保健福祉局長。 〔中島保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(中島康雄) 私からは2点についてお答え致します。まず子供の医療費助成の拡充についてでございます。子ども医療費支給制度につきましては,国による補助制度のない中,府市協調の下,平成19年9月から入院については対象年齢を拡大し,通院については自己負担額の引下げを行っております。御指摘の子供の医療費助成の対象年齢の拡充につきましては,小学校卒業まで拡充した場合で新たに約22億円もの多額の経費が必要となることから,本市の大変厳しい財政状況の中,実現は極めて困難ですが,引き続き京都府と制度の在り方について研究を進めて参ります。なお,子供の医療費助成については,これまでから国に対し財源措置を求めておりますが,今後とも他都市と連携し強力に要望して参ります。 次に,介護保険制度についてでございます。制度の運営に当たりましては,これまでから高齢社会対策実態調査等により,市民の皆様の介護実態を把握のうえ具体的な施策の整備量等を京都市民長寿すこやかプランで定め,着実に推進しているところでございます。平成21年度から23年度までの事業計画期間におきましては,特別養護老人ホームでは目標量の99.8パーセントとなる4,923人分を確保し,保険料につきましては現下の厳しい市民生活の実態を踏まえ基準月額で250円引き下げ4,510円にするとともに,本市独自の減額制度も拡充したところでございます。また利用料につきましても,所得の段階に応じた負担限度額の制度などを適切に運用しております。国の財政措置につきましても,市民の皆様や自治体に過重な負担が生じないよう引き続き強く要望して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 先ほどの赤阪議員からの通学における公共交通の運賃についての御質問に対する答弁で,平成2年以降2度の運賃値上げと申しましたけれども,正しくは平成元年以降でございますので,お詫びを致しまして訂正致します。申し訳ございません。 ○議長(加藤盛司) お聞き及びのとおりでございます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 暫時休憩致します。 〔午後2時26分休憩〕 〔午後2時47分再開〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 休憩前の一般質問を継続致します。市政一般について,山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕 ◆(山岸たかゆき議員) 皆さんこんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民主・都みらい京都市会議員団を代表し,後の山本ひろふみ議員と共に市政一般について質問します。市長並びに関係理事者におかれては,誠意ある前向きな御答弁をよろしくお願いします。 まず,本市の将来にわたる発展にとって重要な本市へのアクセス確保について質問します。それはリニア中央新幹線がこのままでは本市に乗り入れないという問題です。この構想が現実味を帯びてきたのはJR東海が表明した平成19年以降の一連の発表からです。すなわち今から17年後の2027年に東京,名古屋間,35年後の2045年に名古屋,大阪間の開業を目指す。ただし東京,名古屋間は2027年を前倒しし,できるだけ早期に開業したいというものです。現在リニア中央新幹線の開業に向けて着実に手続が進められている状況です。これまでの経過ですが,全国新幹線鉄道整備法に基づき昭和48年11月に基本計画の決定,平成2年2月から平成20年10月に掛けて地形,地質等に関する調査,平成20年12月から平成21年12月に掛けて輸送需要量に対応する供給輸送力等に関する4項目の調査,そして今年3月に入り国土交通省の交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会の下に中央新幹線小委員会が設置され,リニア中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定が審議されています。この委員会の資料によると,昭和48年の基本計画では,リニア中央新幹線の起点が東京都,終点が大阪市,主要な経過地が甲府市付近,名古屋市付近,奈良市付近となっており,本市は経過地に含まれていません。そしてこの計画をベースに委員会の議論が進められている状況です。またJR東海からも奈良市付近を通る法律上のルートを想定している。京都へは東海道新幹線及び在来線のダイヤを工夫して対応するとのことで京都乗入れは想定されていません。しかし,東海道新幹線は開業から45年余りが経過し,1,将来の設備の経年劣化,2,東海地震等への備え,3,対応能力の限界といった課題があり,35年後のリニア中央新幹線開業時にそのまま存続するかどうか不透明な状況と言わざるを得ません。加えてバイパス機能を期待され,第2の東海道新幹線と言われている北陸新幹線も最終的に東京,大阪間を結ぶ計画ですが,この路線も本市に乗入れしないこととなっています。 以上から万が一老朽化等で東海道新幹線が廃止となった場合,本市は将来的に新幹線が乗入れしない都市になってしまう可能性があるということです。その場合,本市における政治,経済をはじめ様々な活動に影響が及び,とりわけ観光産業への打撃は相当なものになると思います。本市はこれまで観光を重要産業の一つに位置付け,その振興に力を注いできた結果,平成20年ついに入洛観光客数年間5,000万人の目標を達成しました。今年度から新たに未来・京都観光振興計画2010+5を策定し,京都観光の量の確保と同時に質の向上を目指して取り組んでいます。しかし,これも観光客が容易に本市へお越しいただけるよう交通基盤が整備されていることが大前提となります。本市は内陸都市であり,しかも空港がありません。直近の観光調査年報の利用交通機関別入洛観光客数を見ると,JRと私鉄を合わせた鉄道が6割以上,バスが約1割,乗用車が約3割となっており,本市への一般的な交通手段として重要な位置を占めているのは鉄道です。中でも近隣地域を除けば関東,中部地域が主な観光客の供給源であり,本市に観光客を集めるのに大きな役割を果たしているのが新幹線と言えるのではないでしょうか。また本市は,昨年1月23日環境モデル都市に選ばれました。そしてその丁度1年後の今年1月23日,環境モデル都市・京都における取組の大きな柱となる歩くまち・京都戦略の一環として歩くことを中心としたまちと暮らしに転換するための行動規範である歩くまち・京都憲章を日本で初めて制定しました。同時に交通まちづくりのマスタープランとして歩くまち・京都総合交通戦略を策定し,自動車の利用率を約28パーセントから20パーセント以下に抑える一方,徒歩,公共交通,自転車といった自動車以外の利用率を72パーセントから80パーセントを超える率にすることを目標に掲げ,今年度から本格的に取り組んでいます。そのことで京都観光には車でなく公共交通機関の利用誘導が一層図られ,ますますその基盤整備が重要となってきます。このように公共交通機関の中でも鉄道,とりわけ新幹線の乗入れは本市の将来にわたる発展にとって大変重要であることから,リニア中央新幹線が京都に乗り入れないのは大きな問題です。地元京都もこの事態を重く見て今から20年前の平成2年1月,京都府中央リニアエクスプレス推進協議会が設置され,行政,議会,経済界のトップが役員に名を連ね,この間,京都を通るルートの実現に向けて取り組んできた経過があります。また昨年9月には京都経済同友会から,京都を日本の未来を開く戦略拠点にと題して地元京都市に望む六つの緊急取組事項が提言され,その一つにリニア中央新幹線の京都乗入れが挙げられています。さらに,この度本市が策定した未来・京都観光振興計画2010+5の中においても,京都へのアクセス向上を図るためリニア中央新幹線の早期実現と京都誘致を要望しますと明記し観光振興における本市の態度を表明しています。そこで,将来にわたる本市の発展を考えたとき,リニア中央新幹線の京都乗入れが是非とも望まれます。もしそれが実現しない場合でも,それに代わる利便性の高い本市へのアクセスをしっかり確保すべきです。この問題は市民の皆様にも十分御認識いただき,京都全体で取り組むことが重要です。まだまだ先の話と片付けられない,今からでも取り組まなくてはならない問題と考えます。新たな観光振興計画を推進し,将来にわたり京都を訪れる皆様から日本に京都があって良かったと実感していただくためにも,この件について総合行政の視点から御答弁をお聞かせください。 次に,食育の充実について質問します。今から5年前の平成17年6月に食育基本法が成立しました。その中で子供たちが豊かな人間性をはぐくみ,生きる力を身に付けていくためには何よりも食が重要である。今,改めて食育を生きるうえでの基本であって,知育,徳育,体育の基礎となるべきものと位置付けるとしており,食育が教育の中で大変重要な位置付けであると規定されています。本市においても単に日本の食文化のみならず,礼節,感謝の心,先人の知恵など日本の伝統文化も同時に学ぶこととなり,豊かな人間性をはぐくみ生きる力を養うことにつながることから,食育を正に教育の原点と位置付け様々な取組が行われています。既に平成13年度より京都市中央卸売市場協会,京都青果協会,京都水産協会との協働による小学校出前板さん教室,平成15年度より小学校におけるピーマン,ミニトマト等の栽培活動を通じた食育授業,平成17年度より老舗料亭の主人等で作るNPO法人日本料理アカデミーと連携し,日本料理に学ぶ食育カリキュラム指導資料集の作成配布,小学校での食育授業の実施,そのほか学校給食を活用した食育,食育指導員の養成が行われています。 私は,こうした取組以外に,子供が自ら考え行動することを通じて食から様々なことを学べる取組として39都道府県約600校で採用され,全国で急速に広がりを見せている弁当の日に注目しています。ちなみに本日私も自分で弁当を作って持って参りました。本市では伏見区の池田東小学校で行われています。食べることは人が生きる根本であるとの考えに立ち,児童が自分で弁当が作れるようになることで児童の生きる力を養おうと一昨年に6年生で始まり,昨年は5,6年生で実施されました。弁当を作る準備として理科と家庭科で事前学習の時間を十分確保,1回の給食費相当の費用の範囲内で食材を購入し,保護者は口は出しても一切手伝うことなく児童が一人で弁当を作って学校に持参します。当日作ってこない児童は1人もいません。その日は児童だけでなく先生も弁当を持ち寄り芝生の校庭で食べます。児童には大変楽しかったと非常に評判が良いそうです。その結果,1,日ごろ食事を作ってもらっている人々への感謝の気持ちがわく。2,料理の彩り,栄養のバランスを意識するようになる。3,食材を購入する際に経済観念が身に付く。例えば良いものを安くと思いタイムサービスに食材を購入した児童もいたということです。4,食べ物の命を頂くという謙虚な気持ちを持つようになる。5,弁当の日を契機に給食の食べ残しがほとんどなくなる。これには教師も給食調理員さんも大変驚かれたそうです。6,家庭の中のコミュニケーションが良くなるなど様々な教育効果が得られたとのことです。そこで本市が教育の原点と位置付けている食育を更に充実させるため,一例として紹介した弁当の日のような子供が自ら考え行動し,しかも様々な教育効果が得られる取組を積極的に行っていくべきと考えますが,お考えをお聞かせください。 最後に,地元の木幡池と山科川の整備について質問します。まずは木幡池の整備についてです。木幡池は,名前からは宇治市にあるような印象を受けますが,実際は伏見区と宇治市の約13.5ヘクタールにまたがり,市街地に隣接する身近な水辺空間となっています。東西2本の道路で北池,中池,南池に分かれており,そのうち北池は大半が伏見区にあります。また木幡池と池の名前は付いていますが,山科川支流の1級河川堂の川と位置付けられ京都府が管理しています。この木幡池のうち特に大半を伏見区が占める北池ついては広範な湿地帯で,野鳥観察の地元専門家の話では,オオタカ,ハヤブサなど7種類の猛禽類をはじめ約90種類もの野鳥が確認されており,正にまち中に残る大変貴重な野鳥の宝庫となっています。ちなみに昨年の冬には,日本ではめったに見られないノハラツグミという鳥が飛来して評判となり,その姿を写真に収めようと大きなカメラを抱えた野鳥愛好家が全国から殺到し,警察官が交通整理に出動するほどの騒ぎになりました。ところで木幡池の治水対策を一層進めるとともに住民の憩いの場にしていこうという動きが最近相次いで出てきています。一つ目は,国土交通省が平成21年度に,かわまちづくり支援制度を創設し市町村等におけるにぎわいのある河畔空間の創出を目指し,まちづくりと一体となったソフト,ハード両面からの河川整備を推進することとなりました。昨年8月7日付けで国土交通省より宇治市の木幡池のかわまちづくり計画が認定され,治水対策と共に京都府と地域が散策路整備を行い,水と緑の交流拠点に位置付け市民の憩いの場,ふれあいの場として利用を図ることとなりました。二つ目は,木幡池北池の大部分に当たる約4.2ヘクタールの民有地を今年1月に京都府が買い取りました。それにより長年の懸案となっていた水草の除去,堂の川から流入する堆積土砂の除去や底泥のしゅんせつの治水対策を行うこととなりました。同時に親水性に配慮した護岸整備等も行われようとしています。また今から30年余り前,木幡池北池が属する桃山南学区が新たに誕生した際,地元の有識者で地元の問題を考えるシンク桃山という勉強会を立ち上げ,まちの将来ビジョンを作りました。その中に木幡池を改修し親水公園に整備するという構想がありました。木幡池を憩いの場にすることは地元の30年来の悲願でもあります。 次に,山科川の整備についてです。地元にかかわるのは木幡池の北に接する部分です。治水対策の一環でJR奈良線の六地蔵駅前の鉄橋の南側から河口までは,京都府ではなく国土交通省の管理となっています。6年前の平成16年から地元関係者と共に,国土交通省淀川河川事務所,京都市の関係者等が集まり長年の懸案である1,自転車,バイクの駐輪対策,2,環境美化対策などの周辺整備の二つのテーマについて懇談会を設置し話合いを進めてきました。そのうち,まずは駐輪対策を優先し地元自治会などの御協力の下,平成20年3月堤防上に駐輪されていた自転車,バイクを一掃しました。一方,その収容先として利用率の低かった桃山南口駅北側の駐輪場の駐輪台数を増設してリニューアルオープンするという成果も上げることができました。そして,今年2月には懇談会を再開し,もう一つのテーマである環境美化対策などの周辺整備について議論が進められおり,今年度中に取りまとめがなされる予定です。また山科川を挟んで南北にまたがる区域は,桃山東第二地区土地区画整理事業により最近続々と住宅が建ち並び若い御家庭が入居されています。そのためその区域から桃山南小学校に通う児童が現在12名います。ところが小学校に通うのに約600メートルも山科川の堤防を歩かなくてはなりません。人目もなく街灯一つ設置されていないことから安全上問題があり,児童の行き帰りを保護者,教師が送り迎えしている現状のため,河川管理上支障のないよう堤防に街灯を設置するか,新たな通学路の設置が望まれています。また,買物や公共交通機関利用等のため六地蔵へ徒歩や自転車で行く際,途中桁下1.2メートルしかない高架橋をかがんで通らなければならない所もあり,便利で快適なルートの設置を望む地元住民の声が以前から多く出されています。そこで市街地に隣接し野鳥の宝庫でもある木幡池の整備について,北池の大半を市域に有する本市として自然環境に配慮しながら木幡池を住民の憩いの場にすべく京都府や宇治市と連携するとともに伏見区と宇治市の地元住民も参加していただき,住民の意見を反映した整備に積極的に取り組んでいただきたいと思います。正に門川市長が市政運営の基調とされている住民との共汗,関係行政との融合をお願いします。また山科川の整備について,現在進められている懇談会に積極的にかかわるとともに,児童の通学路問題と便利で快適なルートの問題解決に前向きに取り組んでいただきたいと考えますが,いかがですか。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答え致します。 京都市の将来にわたる発展にとって重要な本市へのアクセスの向上についてでございます。京都市は1200年の悠久の歴史に培われた日本が世界に誇る国際文化観光都市であり,147万人の市民の日々の暮らしが息づく都市であります。しかしながら,京都市には空港や港がなく,鉄道が公共交通機関として外部とのアクセスのかなめとなっており,特に東海道新幹線は昭和39年の開業以来,京都にとってなくてはならない交通アクセスとなっております。山岸議員御指摘のリニア中央新幹線につきましては,国土の均衡ある発展に向けて首都圏,中部圏,近畿圏の三大都市圏を結ぶ新しい国土軸として,昭和48年に全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画において,東京都を起点として甲府市付近,名古屋市付近,奈良市付近を通過し終点を大阪市とする整備ルートが決定されております。このため京都市は,平成2年に設置された京都府中央リニアエクスプレス推進協議会において,京都市会,京都府,京都府議会,京都商工会議所など関係団体と共にリニア中央新幹線の早期実現と京都ルートの実現について国に対し要望活動を今日まで行って参りました。しかしながら,本年3月から国の交通政策審議会の審議において議論されています東京,大阪間の整備計画では,従前どおり京都は整備ルートには含まれておりません。京都市は,京都御所や国賓をお迎えする京都迎賓館といった日本を代表する施設を有し,14箇所もの世界遺産を擁する日本国内はもとより世界から観光客をお迎えする歴史都市,文化芸術都市であります。また国家戦略として京都創生を実現し将来にわたって京都の都市格を維持向上していくうえにおいても,さらに,新たに策定した京都市の観光振興計画を推進し国家的課題として位置付けられている観光立国を実現するためにも,京都への安全で便利な交通アクセスの確保について本市の都市政策の基本に据えて取り組んでいくことが極めて重要であります。そのため国をはじめ関係機関に対し,リニア中央新幹線の京都ルート採用について要望活動を更に積極的に続けるとともに,京都市民の皆様はもとより京都府,経済界等と問題意識を共有し,一丸となって京都都市圏におけるすべての都市活動を支えるアクセスの確保が不可欠な最重要課題であることを強く訴えて参ります。 次に,木幡池と山科川の整備についてでございます。木幡池は,かつて桂川,宇治川,木津川の三つの河川の合流地点にありました旧巨椋池への流入部に当たり,本市伏見区と宇治市にまたがる湿地帯を含む広大な池であります。現在では,周辺地域を洪水被害から守る遊水地としての役割を果たす一方,水の流れが緩やかで数多くの野鳥が確認されるなど市街地に隣接する貴重な水辺でもございます。木幡池を管理する京都府は,昨年8月に木幡池かわまちづくり計画が国土交通省から認定されたことを受けまして,昨年度に京都市域にある木幡池北池の用地買収を行っており,今後伏見区の皆様の御要望であるしゅんせつや護岸整備工事を行うとともに,木幡池における散策路整備等の方向性を定めるため住民の皆様との勉強会を開催する予定と報告を受けております。本市と致しましては,この勉強会に参画する中で京都府や宇治市とも十分に連携し,木幡池が住民の皆様の御意見を反映した水辺空間となるよう積極的に取り組んで参ります。一方,木幡池に隣接する山科川につきましては,管理者である国土交通省が地元,学識経験者,京都市の参画による懇談会を開催しており,この懇談会での大きな課題の一つでありました河川敷内の放置自転車問題につきましては,本市におきましても放置自転車の撤去を実施するなど平成19年度末には解決に至りました。しかしながら,山岸議員御指摘の児童の通学路問題,具体的には山科川堤防における街灯の設置につきましては,国土交通省によると,堤防を保護する観点から街灯設置許可は難しいとのことであり,今後この問題の解決に向けて本市のハード部局にも検討するよう指示したところでございます。また,桃山南学区と六地蔵方面を結ぶ便利で快適なルートの設置の問題につきましては,先ほど申し述べました木幡池の散策路整備等に関する勉強会において,京都府や宇治市とも連携し住民の皆様と意見を交えて,共に知恵を出し合い共に汗をかく正に共汗することによってより良い解決策を見付けて参りたいと考えております。木幡池と山科川につきましては,基本的に京都府や国土交通省に管理権限があり,本市の判断で事業を実施することは困難でありますが,今後京都府や国土交通省が行う事業に本市が積極的にかかわる融合により住民の皆様の御要望が実現できるよう全力で取組を進めて参ります。 私からは以上であります。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 食育の充実についてでありますが,今日インスタント食品やレトルト食品等の手軽な食が普及し,食生活の乱れや食べ物への感謝の心が希薄化するなど教育において課題となっております。こうした中,食への関心を高め食に対する正しい知識を身に付け,健康的な食生活を実践することがますます重要となってきております。本市では,日々の給食の時間や総合的な学習,家庭科等の時間におきまして食に関する指導を行うとともに,それぞれの小学校で地域,保護者の協力を得ながら特色ある独自の食育の取組を進めているところであります。例えば農園を借りて地域の協力の下,土づくりから収穫,調理までを年間を通して実践し命の大切さや食べ物の大切さを体感する取組や,参観日等では必ず全学年が食に関する事業を行い,児童だけではなく保護者や家庭にも食育を啓発する取組を行うとともに,早起き朝ごはんプロジェクトと名付け子供たちが早起きをし自ら朝食を作る活動などを実践しております。また,京都の老舗などで構成される日本料理アカデミーとの連携の下,日本料理に学ぶ食育カリキュラムを作成し,プロの調理人からだしのうまみを味わうなど日本料理を通して食材を生かし五感を働かせて食することの大切さや,食文化の継承,発展を学ぶ取組を行うと共に,中央卸売市場の御協力の下,魚屋さんや八百屋さんなどが教壇に立つ出前板さん授業等を行っております。さらに,食育を市民運動として展開するため地域の皆様にボランティアとして御参画いただき,地域に密着した食育活動を担う食育指導員の設置が各行政区ごとに進められており,学校での食育指導の充実にも寄与していただいているところであります。議員御推奨のお弁当の日につきましては,子供たちが自ら買物をして食材を準備し,一人でお弁当を作って学校に持ってくる体験学習であり,食への感謝や生産者,調理者への感謝,栄養バランスの取れた食材を選択する力,食材の購入を通した経済観念の育成や家庭でのコミュニケーションの増加等,様々な教育効果が期待できます意義のある取組と認識しております。今後とも家庭,地域,関係機関,団体との連携の下,こうしたお弁当の日をはじめとする各学校の特色ある取組の充実,拡大に努め食育を通じて子供たちが自ら考え行動する実践的態度の育成を図って参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 次に,市政一般について,山本ひろふみ議員に発言を許します。山本議員。 〔山本ひろふみ議員登壇(拍手)〕 ◆(山本ひろふみ議員) 伏見区選出の山本ひろふみです。民主・都みらい京都市会議員団を代表し,山岸たかゆき議員に引き続き,市長並びに関係理事者に質問させていただきます。 まずは市営住宅の問題について質問致します。議員に当選させていただいて3年余り,市営住宅に関する相談も多く頂きました。その度に年に4回の募集があること,多回数落選者優先選考という制度があること,9月には母子世帯や障害者世帯などの特定目的住宅や車いす専用住宅の募集があることなどを伝えますが,一般公募では14倍前後,特定目的でも3倍から8倍の申込みがあることも伝えるとなかなか納得いただけないのも現状です。特に不慮の事故や病気で車いす生活を余儀なくされている方々や,一昨年の秋以降の景気の後退により職を失った方々にとって,自らが安心して暮らせる住まいを確保することはますます困難になっています。公営住宅法では第1条でその目的として,この法律は国及び地方公共団体が協力して健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し,これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し,又は転貸することにより国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするとされています。つまり市営住宅は,住宅に困窮する低額所得者のセーフティネットでなければなりません。本年3月,今年度から2019年度までの住宅政策の土台になる京都市住宅マスタープランが策定されました。その中でも,施策の方向性の一つとして重層的な住宅セーフティネットの構築,その中には市営住宅の住宅セーフティネット機能の充実が明記されております。具体的な施策としては,より住宅確保の優先度が高い世帯へ市営住宅を供給するための方策としての優先入居制度の拡充や住宅規模,世帯人数に応じた応募,住み替え制度の創設,家賃減免制度の改正,また私たちが予算要望でも求めてきた期限付入居の導入など歓迎すべき取組も多く盛り込まれていますが,住宅困窮者にとっては一刻の猶予もありません。住宅マスタープランの中では,短期的な取組とはされていますが,今後どのようなスケジュールで取り組まれますでしょうか。一刻も早い制度改正を求めます。また市内には既に住宅総数の14パーセントに当たる約11万戸の民間管理の空き家が存在します。人口減少に伴い需要と供給のバランスから,中には安価で良質な物件も多く存在します。一方,多くの市民は,安くて良質な住まいイコール市営住宅と考えがちです。現実はそうでない所もあります。礼金や更新料といった民間特有の条件も急速になくなりつつあり,公営住宅との格差が解消してきています。市営住宅に応募される方,また残念ながら抽選に漏れてしまった方に対し,そういう物件を紹介することはできないでしょうか。さらには,現在市営住宅には約1,000戸あると言われる収入超過者及び約80戸あると言われる高額所得者の方々がお住まいになられています。公営住宅法により収入超過の状態で3年以上住み続けている場合は,明け渡すよう努めなければならない。更にそれを上回る高額収入の状態で2年以上住み続けている場合は,期限を定めて明渡しを請求することができるとされています。ただ地域との関係や人間関係,お子さんがおられれば学校や保育園との関係で,すぐに引越しするには困難を伴うことは理解します。まずはその事実を知っていただくことも含め,適当な時期に退去を促す案内などをすると同時に,同程度の民間の物件を紹介することによって真の住宅困窮者のための市営住宅,セーフティネットとしての市営住宅となり得ると考えます。民間の事業者とも連携した取組についてはいかがお考えですか,お答えください。 次に,留学生対策,就学生対策について質問致します。2008年12月,京都市国際化推進プランが策定されました。その中には留学生や研究者の集うまちづくりの推進として,現在市内に約4,500人在籍する留学生の倍増を図り,留学生1万人の実現を目指しますと掲げられ,留学生向け住戸2,000戸を目指す留学生住居整備支援プロジェクトや,京都市の文化施設の見学,体験,イベント等への参加機会を提供する留学生優待プログラムを実施するとされています。さらには,現在市内に約1,500人いるとされてる大学進学などを目的に日本語を学ぶ就学生については,学びやすい環境整備を促進する,留学生が利用できるサービスの対象を就学生等に拡大することについて検討するとされています。一方,国においては,昨年の通常国会において出入国管理及び難民認定法,日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律が可決され,本年7月1日より在留資格,留学と就学が一本化されます。これによって,これまで私が何度か委員会でも指摘させていただいてきた区役所における就学生の日本での生活に必要な健康保険証や外国人登録原票発行の事務作業が簡素化されるということですので,この法律改正には,本市の負担を軽減するという意味でも期待しております。大きな枠組では,資格外活動いわゆるアルバイトなどをする時間の制約が,就学生はこれまで1日4時間以内とされていたものが留学生同様28時間以内に統一されたり,これまで異なっていた在留期間についても統一されることになっています。そこでお伺いしたいのが本市が,独自に留学生に提供してきたサービスについてです。留学生向け住戸や市バス,地下鉄における学割の適用,さらには市内8箇所の文化施設に無料で入場できる留学生おこしやすPASSや留学生国保補助制度,京都市交響楽団定期演奏会への無料招待など留学生のみを対象にしたサービスも数多く行われています。日本に来て,京都に来て学ぶ彼らに等しくサービスを提供し国際舞台で活躍してもらうこと,さらに就学生についていえば,日本語学校で学びながらより京都の魅力に触れることは京都の大学に進学する意欲をかき立てることにもつながると思いますし,ひいては国際化推進プランに掲げる留学生1万人計画の達成にもつながると思います。今後の留学生,就学生対策についていかがお考えですか,お答えください。 次に,依存症対策について質問します。最近,芸能人,大学生,中学生,これまで薬物とはよほど縁遠いと考えていた人たちが大麻所持で逮捕されています。ある人に言わせると,薬物なんて簡単に手に入る,携帯電話やインターネットが普及した現代において私たちは危険な薬物と隣り合わせで過ごしていると言っても過言ではありません。薬物依存は身体的な障害や精神的な障害など健康上の問題,家庭内暴力や家族崩壊など家族の問題,失業や借金など社会生活上の問題,犯罪や自殺など社会的な問題など多くの問題を引き起こす可能性があります。薬物のみならずアルコールやギャンブルなども適度なたしなみは影響ありませんが,度を過ぎた依存,濫用は薬物同様の悪影響を引き起こします。依存症は病気なのです。しかし,その発生防止から社会復帰まで,病院だけではこの問題は解決しません。病院や保健所はもちろん地域や学校,さらには薬物依存においてはDARKやNA,ナラノン,アルコール依存においてはMACやAA,アラノンや断酒会などの自助団体やグループホームが緊密に連携して薬物依存やアルコール依存を未然に防ぐこと,さらには早期発見,早期治療により社会復帰を手助けすることが大変重要です。京都市では,こころの健康増進センターが依存症に対する相談窓口となっています。薬物依存に関する相談は年間約100件,アルコール依存に関する相談は年間約200件に上るそうです。さらに地域と連携した取組として思春期・青年期精神保健ケースマネージメント事業というのが行われています。これは薬物問題はもちろん引きこもりなど思春期,青年期に起こりがちな心の問題を保健所などの保健機関,市立病院などの医療機関,児童福祉センターなどの福祉機関,教育委員会,さらには京都家庭裁判所や京都府警少年サポートセンターなどの司法機関,その他自助団体などが参画し一体的にサポートしていこうという取組です。こういうネットワークに更に地域の団体などを組み込み,より効果的な組織とし依存症の入口を狭めること,さらには依存症に陥ってしまった方の社会復帰を促進することは可能です。ネットワークの強化が必要だと考えますがいかがですか。また国では,DARKやMACといった依存症回復施設の更なる機能強化のために依存症回復施設職員研修事業という事業を本年度から開始します。そういった事業も必要に応じて利用しながら,本市から薬物依存やアルコール依存によって悲しい思いをする人をなくすという気概を持って取り組むことが必要だと考えますがいかがですか。本市の依存症対策についてお答えください。 最後に,労働,社会保険にかかわる教育について質問致します。京都市にある労働と社会保障についてのNPO法人の方の話によると,雇用先で健康保険,労災保険などの社会保険,労働保険に加入していたにもかかわらず,病気で退職後,保険の意味が理解できず,それを活用しないまま生活保護の申請をしているケースがあるとお聞ききします。例えばこんなケースです。市内の大手製造業社に派遣労働者として働いていた地方出身の30代前半の男性が,就労して4箇月後に精神疾患を発症してしまい働くことができないので退社することになったそうです。当然派遣先の寮も出ないといけない。経済的な蓄えはない。携帯電話しか持っていない。近くに身寄りもない。食べることもできず,一るの望みを懸けて人づてにそのNPO法人を訪ねられたそうです。当然3箇月を超える期間雇用契約ですから健康保険にも加入しておられました。在職中に病気に対する初診日があれば,制度上は退職後においても健康保険の傷病手当金を受け取る権利を持っていたのですが,制度を知らないがために生活保護の申請をされようとしていました。このNPO法人は,社会保険労務士が中心となって運営されていますから,話を聞いたうえで健康保険の傷病手当金の請求と同時に緊急的に中央保護所での寝泊りの方法をアドバイスしたそうです。このように働いていたが,病気やけがのために働くことができなくなった労働者の場合,もし業務が原因であれば労災保険も使えるし解雇制限もある。業務外であれば健康保険の傷病手当金が使える。退職し雇用保険の受給資格があれば,失業給付や訓練給付の可能性もある。さらに障害があれば,厚生年金の請求の可能性もあるわけです。しかし,その制度を知らないが故に不利益を受けている人も多くいるのではないでしょうか。人が生きていくためには働かなくてはなりません。しかし,職不足,病気,けがなどの様々な理由で働けない場合,日本の社会には大きく分けて三つのセーフティネットが用意されています。第一のネットが雇用保険や健康保険,国民年金などの労働,社会保険のネットです。第二のネットは職業訓練を受けながら生活給付金が受けられる緊急人材育成・就職支援基金などを活用したネットです。そして最後,第三のネットが生活保護です。本来なら第一,第二のセーフティネットで救われる資格があるにもかかわらず,その知識がないために生活保護に頼らざるを得ない方々も多くおられると思います。そのことは結果として京都市の財政を圧迫することにもつながります。そのような事態に陥らないために公教育においてしっかりとした社会保障制度や労働保険に関する知識,労働トラブルが生じた際の相談先を教育すべきではないでしょうか。先に紹介したNPO法人は府内,市内の大学生や高校生,さらには高校の教員を対象に実際に働く前に知っておかなくてはいけない労働,社会保険に関する教育を出前授業という形で行われています。昨年,市立洛陽工業高校では,すべての生徒を対象にこの出前授業が行われ,同時にアンケート調査が実施されました。幾つか象徴的な結果を御紹介させていただきたいと思います。20歳から国民年金を払わなくてはいけないということに対して,知っていると答えた生徒は全体の79パーセントだったのに対し,労災保険について知っていると答えた生徒はわずか46パーセント,雇用保険については39パーセントにとどまっています。国民年金については,その安定運営や徴収率の向上のために,この間国策として重点的に啓発活動を行ってきた結果,認知度も非常に高くなっています。つまり教えるか教えないか,教えれば知ることができますし教えなければ知ることさえできません。 この4月,京都市内市立の九つの高校を卒業した学生は1,931人,工業系の洛陽,伏見の両市立高校を中心にそのうち255名が就職しています。学校あっせんによる就職希望者全員が就職できたことは,各高校の取組また本市教育委員会のキャリア教育やハローワーク,各企業との連携の賜物と高く評価致しております。そんな彼らが安心して社会で活躍できるためにも,労働,社会保険の教育は必要です。本来的には大学や府立高校とも共同で取り組むべきでありますが,本市の責任としてまずは工業系の全生徒を対象に,さらにはすべての市立高校で労働,社会保険の最低限の知識,自分の身は自分で守れる知識を教えることは子供たちの未来にとって大変重要なことであると考えております。現在は,各校の進路指導主事の裁量で個別に行われているこの取組を水平展開すべきです。特に労働,社会保障については専門的な知識も要しますので,現在の教員の知識で不足するのであれば講師を外部から招くことも含めて検討し実施すべきだと考えますがいかがですか。 今回の代表質問では多くの時間をセーフティネットの強化について質問させていただきました。なぜなら私の事務所にも生活保護や市営住宅について多くの相談が寄せられているからです。それほどに市民生活は危機に瀕しています。先ほど紹介させていただいた3つのネットに救われなかった先には死しかありません。本市の財政状況も厳しいことは重々承知しておりますが,未来まちづくりプランには,掛け替えのない命,それは市民の皆様と共に行政が取り組むべき最優先課題ですと掲げられています。その宣言の意味を今一度再認識され,命を守る行政の推進に最優先に取り組んでいただくことをお願い申し上げ,議員団を代表しての質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山本ひろふみ議員の御質問にお答え致します。 まずセーフティネットとしての住宅政策についてでございます。京都は,1200年にわたって山紫水明の自然と共生しながら,京都ならではの町並みや豊かな地域コミュニティなど住まいを巡る独自の文化をはぐくんで参りました。本市では,その誇るべき文化を踏まえ本年3月に今後10年間の京都の住まい,まちづくりの基本的指針として住宅マスタープランを策定致しました。本プランの施策の方向性の一つとして掲げている重層的な住宅セーフティネットの構築に当たりましては,市営住宅をはじめとした公的賃貸住宅のみならず民間賃貸住宅も含めた賃貸住宅全体の有効活用を図っていくことが必要でございます。市営住宅につきましては,引き続きセーフティネットの中核としてしっかりとした管理と運営を行って参ります。入居者の募集に当たりましては,低額所得者の中でも障害のある方や母子世帯など住宅確保に一層の配慮が必要な方々に重点を置き,子育て世代の優先枠を今年度から更に拡大するとともに,父子世帯やDV被害者世帯への制度の拡充について早期実現に取り組んで参ります。また,山本議員御指摘の期限付入居の導入につきましても直ちに検討に着手して参ります。一方,低額所得者の居住の確保という市営住宅本来の目的の実現のため,高額所得者については,これまでから退去を求める指導及び勧告を行い一定の成果を上げてきているところでございますが,今後,法的措置も視野に入れて更に取組を強化して参ります。また,市営住宅に入居できない住宅困窮者への対応や高額所得者の退去促進を図るうえで,民間賃貸住宅の有効活用については極めて有効な手段であると考えております。今後,民間事業者等との連携により住宅確保に配慮が必要な方々や,収入超過者及び高額所得者に対する効果的な住宅情報の提供を行う仕組みを構築し,だれもが安心して暮らすことができる京都らしい住まいやまちを実現して参ります。 次に,薬物やアルコールなどの依存症対策についてでございます。依存症につきましては,山本議員御指摘のとおり本人の心身に多大な悪影響を及ぼすことだけでなく,本人や御家族など周囲の人々の生活や人生にも被害をもたらす重大な問題であります。依存症対策では,依存症にならないための予防対策はもとより早期発見,早期治療,社会復帰という切れ目のない支援が重要であります。そのため本市では,予防対策と致しまして教育施設や公共交通機関等でのポスターの掲示や大学等の教育機関と連携した講演会の開催等予防に関する普及啓発に努めて参っております。また,依存症になられた方々に対しましては,京都市こころの健康増進センターや各行政区の保健センターの精神保健福祉相談員等が本人及び御家族等からの電話相談や面接相談に応じるなどの支援を行うとともに,依存症の方の回復施設や自助グループへの情報発信等の支援にも取り組んでおります。さらに平成16年度からは,関係機関との連携によりまして薬物乱用などの思春期の様々な心の健康問題に取り組む思春期・青年期精神保健ケースマネジメント事業を実施し,個別支援のほか事例検討会や連続講座等を開催しております。今後は関係機関のネットワークの強化や地域の協力を得て予防啓発活動を更に推進するとともに,山本議員御指摘の国の依存症回復施設職員研修事業を活用しまして施設職員の資質向上を図るなど,依存症の方々への支援の充実に更に一層努力して参ります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 細見副市長。 〔細見副市長登壇〕 ◎副市長(細見吉郎) 留学生及び就学生への支援についてお答え致します。現在国においては留学生30万人計画を掲げるとともに,議員が御指摘されていますように大学などで学ぶ留学生と,それらへの進学を目指して日本語学校などで学ぶ就学生について,区分の一元化や在留期限延長などを内容とする出入国管理法の改正を行うなど留学生,就学生対策の充実を図る取組が進められております。京都市は,大学のまち,学生のまち,そして国際都市としての強みを生かして留学生を現在の倍の1万人にする目標を京都市国際化推進プランにおいて掲げております。このため京都の文化芸術に親しむ機会の提供や国民健康保険料補助に関する取組など従来からの事業に加え,新たに留学生優待プログラムの充実や先月末に開設しましたホームページkokoka留学生ねっとにおける就職関連情報の提供などの取組を進めているところでございます。 次に,市内に約1,500人おられる就学生に関しましては,国際化推進プランに基づき厳しい財政状況ではありますが,留学生が利用できるサービスの対象を就学生にも拡大することや就学生と市民との交流機会の提供について検討しているところであります。さらに,今後とも京都で学ぶ海外からの就学生に対する支援について,可能なことから実施できるよう引き続き日本語学校をはじめとする関係者とも協議を行い鋭意検討を進めて参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 高校における労働,社会保障に関する教育についてでありますが,働く者の権利,義務や社会保険制度など働くに当たって必要な知識を身に付けさせることは,社会人としての自覚や責任を培い安心して仕事に就くうえで極めて重要であります。同時にそうした知識と共に確かな職業観や勤労観をはぐくむことは夢や希望を持って仕事を続けるうえで極めて大切であります。そのため本市におきましては,地域や社会とのかかわりの中で生き方を考え探究する生き方探究教育を小学校から高校まで体系的に推進しており,小中学校では,社会の働きや経済の仕組み等を体験的に学習するスチューデントシティ・ファイナンスパーク学習や3,500もの事業所の御協力の下,実際の職場で中学生が5日間勤労体験を行う生き方探究・チャレンジ体験推進事業を実施しております。高校におきましては,就職希望者が多い工業高校2校を中心に企業等の協力の下,インターンシップや長期職場実習に取り組んでおります。また社会のセーフティネットであります労働,社会保険に関する内容につきまして,公民科においてすべての市立高校生が学習するとともに,御指摘の外部講師の活用につきましては,社会保険労務士やハローワーク等の専門家による就職説明会を開催し,社会に出て役立つ知識や心構えを学習する機会を設けており更なる活用に努めて参ります。今後ともこうした本市独自の生き方探究教育を地域や関係団体の御協力を得て,より一層展開して参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 次に,市政一般について,湯浅光彦議員に発言を許します。湯浅議員。 〔湯浅光彦議員登壇(拍手)〕 ◆(湯浅光彦議員) 右京区選出,湯浅光彦でございます。公明党京都市会議員団を代表し市政一般について質問致しますが,その前に一言申し上げます。昨年夏,国民の大きな期待の下,歴史的な政権交代が起こり,鳩山民主党政権が誕生致しました。しかし,今その支持率は見るも無残な歴史的下落を示しております。多くを語るまでもなく,政治と金や普天間基地への対応など国民の期待を裏切り続けた結果であります。一方で最大野党である自民党においても国民の支持率は低迷を続けております。 〔加藤議長退席,柴田副議長着席〕 ◆(湯浅光彦議員) (続)英国の総選挙でも明らかとなりましたが,2大政党では社会の多様な意見を決して酌み取ることができないというあかしであります。今,新党が乱立しておりますが,国,地方共に確かな基盤を持たない新党では国民の声を受け止め届けることもできず,またその行き着く先は政界再編であります。民意を酌み取ることのできない2大政党へと収れんされていくならば,結局国民の思いにはこたえられないことは明らかであります。一時的なブームや風潮に流されて声の届かない政治が繰り返されることがあってはなりません。多様な民意をどれだけ酌み取り,集約し,政策へと実現し社会と政治をつなぐ役割を果たしていけるかどうかが,それが今第3の政治勢力には求められております。地域の主体性が今後ますます重要になる中,3,000人を超える議員のネットワークを持つ公明党は,どの党よりも国民,地域に根差しており,他都市の状況や生活現場の生の声をしっかりと受け止め,国会議員と連携し政策に反映させていくことができます。公明党こそが正に第3の勢力としての実力を持つ政党であると強く申し上げさせていただきます。これからもクリーンな政治,声の届く政治を実現することを市民の皆様に強くお誓い申し上げ質問に入らせていただきます。市長はじめ理事者におかれましては誠意ある答弁をお願いします。 まず財政運営についてお尋ねします。京都市においては,リーマンショック以降の世界規模での景気悪化の影響を受けて,平成20年度の一般会計決算が全国の都道府県,政令指定都市で唯一の赤字決算となりました。また赤字決算の公表から少し日を置いて平成21年度の市税収入が当初予算の見込みを100億円以上下回る収入見通しとなったことや,生活保護費などで追加の費用負担が生じることから155億円もの収支不足が生じる見込みであることが明らかとなりました。門川市長は,こうした財政の危機的な状況を受け,いち早く財政健全化推進本部会議を立ち上げ,不況の直撃を受ける市民生活,中小企業や地場産業をしっかりと守り抜く覚悟を示される一方,平成20年度の過去最大の30億円もの赤字を21年度においてこれ以上拡大させることがないよう,行政の内部経費について全庁挙げて徹底的な節減を行うよう指示されたところであります。 さて,平成22年度がスタートして早くも2箇月近くが過ぎようとしております。平成22年度の当初予算は300億円を超える財源不足を解消するため職員数の削減と全職員の給与カット,戸籍事務電算化の休止などの事務事業の見直しや下水道事業に対する繰出金の一部支払繰延べなど,ありとあらゆる手段を講じましたが,それでも不足する41億円については将来の借金返済に備えて積み立てている公債償還基金を取り崩して帳じりを合わせております。少子化が進行し人口減少社会に突入した我が国にとって,国及び地方自治体共にこれからの財政運営は将来世代への負担の先送りを極力なくすることが重要であります。公債償還基金の取崩しなどに依存した予算の編成は,不況に苦しむ市民生活を守るための緊急避難的な対策としてやむ得ないことではありますが,いつまでもこの状態を続けて良いものではありません。京都市では,昨年12月我が党の日置議員が求めました財政改革有識者会議を設置し財政構造改革のための総点検に着手されました。私は財政健全化の取組として,平成21年度決算については何としても収支の均衡を図らなければならないと考えております。5月末の出納閉鎖に向けて市税をはじめとして未収金の確保に最後の努力を重ねておられると思いますが,現時点での平成21年度の収支の見通し及び今後の財政健全化に向けた取組についてお聞かせください。 次に,文化芸術振興策,国際交流について伺います。低成長,景気低迷,雇用不安など依然厳しい環境にあります。将来への閉塞感が漂う今だからこそ一人一人の心を豊かにする文化芸術の持つ力が必要であります。またアメリカのニューディール政策にも代表されるように経済を元気にする力があります。京都市は,この文化芸術の持つ力を最大限に発揮しようと平成18年4月京都文化芸術都市創生条例を,19年9月には京都文化芸術都市創生計画を策定し着実に事業を推進されております。一方,公明党と致しましては,平成13年5月に文化芸術立国・日本をめざしてと題する政策を提言して以来,この5月で10年目に入ります。この間,文化芸術振興基本法の制定を実現し,その振興を積極的に推進して参りました。しかし,鳩山政権の事業仕分けにおいて,短絡的経済的観点からのみの視点で文化芸術関係の事業が相次いで廃止,縮減と判定されるなど厳しい状況が続いております。こうした閉塞状況を打ち破るため4月28日,新たな文化芸術振興ビジョンへの提言をさせていただきました。この提言では,文化芸術予算の拡充,文化芸術に関する寄付税制の拡充,文化省若しくは文化スポーツ省の設置,実演芸術の振興,美術館,博物館の振興など10項目です。現在,文化庁においてこれらの提言の一環として美術品国家補償制度の導入が検討されています。読売新聞も社説において,この制度の検討は新たな文化振興策になると主張しています。この制度の導入は,公明党の前文部科学大臣政務官であった浮島とも子参議院議員が2008年の参議院文教科学委員会で提案して以来,早期実現に全力を注いできたものです。内容は,2001年の米国同時多発テロの影響や日本は西欧からの距離が遠い等の理由により近年海外からの美術品を借りる際に必要な保険料が高騰し,国内の多くの美術館で展覧会の開催を断念するケースが相次いでおり,こういった現状に対し美術品を海外から借りやすくするため破損など万一の損害を国が一部補償する制度です。欧米諸国では次々にこの制度が導入され,この国家補償制度がないのはG8国では日本とロシアだけです。この制度の有効性は主催者の負担を軽減して,より質の高い展覧会の開催を可能にするだけでなく,日本の美術界に対する国際信用を高め,日本の絵や彫刻などを海外に紹介する機会も増えることにあります。国立西洋美術館の村上学芸課長は,国家補償制度は国際文化交流を進める基盤であると指摘されています。是非とも国において制度の成立を期待するものであります。一方,京都市美術館は,受益者負担割合の目標値が20パーセントに対して14パーセントとの報道がありましたが,昨年のルーブル美術展では61万人もの方が鑑賞いただけました。この国家補償制度が成立することにより,集客できる展示会を開催していく環境を整えることが何よりも望まれます。そこでお尋ねします。この国家補償制度に対する京都市の見解及び京都文化芸術都市創生計画にもある80周年に向けた今後の美術館運営についての取組についてお聞かせください。また一方で,美術館に限らず文化交流,学術交流など京都市独自,特に民間団体を主体とした市民レベルの海外都市との交流,協力は京都市の今後の国際化にとって重要であると考えます。包括的な交流を行う姉妹都市提携とは異なり,文化,芸術,学術研究,教育,経済など特定の分野を中心とした民間レベルでの交流について,行政がサポートしその活動を促進するパートナーシティ提携による都市間交流の推進が平成20年12月策定の京都市国際化推進プランに掲げられております。友好親善にとどまらず具体的な分野における成果を目指した市民主体の交流を推し進めるためのパートナーシップ制度に大変期待しております。平成11年に韓国のチンジュ市と初めてパートナーシティ提携し,昨年12月には10年ぶりとなるトルコ共和国のコンヤ市と提携されました。大変意義のある取組と評価しております。今後,海外各都市との間で更にパートナーシティを増やしていくべきであると考えますがいかがでしょうか。今後のパートナーシティ提携の方針について伺います。 次に,自転車走行環境整備について質問します。私は,自転車をこれからの車に代わる交通手段として位置付け走行環境の整備を訴えて参りました。自転車は軽車両という立派な車両であり,交通法規を遵守しなくてはなりません。しかし,車道の左側通行をはじめとした法規がほとんど守られていない実態があります。守られていないというよりも御存じないと言った方が正確かもしれません。また現状の車道では,違法駐車も含め安全に走るための道路環境も整っておらず,とてもすべての自転車に車道を走りなさいとは言えません。本来マナーと共に環境整備をしっかりと行うべきであります。現状ではこのように中途半端な状態のため歩道上での歩行者とのトラブルが増加し,市内で1日当たり平均6件以上も自転車にかかわる事故が起きていることは誠に遺憾であります。昨年2月,私は,歩行者の安全対策と自転車レーン設置など走行環境の整備を,5月には同僚の久保議員から安心して歩けるまちこそが歩いて楽しいまちである等要望を行って参りました。今般発表されております歩くまち・京都総合交通戦略,自転車総合計画においては,自転車を有力な交通手段ととらえ,歩行者の安全確保と自転車走行環境の充実を図る必要から自転車通行環境ネットワークの形成及び重要整備路線の選定を大きな柱とする自転車通行環境整備計画を策定するとされております。一方,全国では,警察庁と国土交通省がリード役となり走行環境について取組がされており,歩道上にカラー舗装による分離をした所では,お金を掛けた割には結局歩行者との分離がうまくいかず危険度は増したとする報告があります一方で,車道に対面通行とならない幅のレーンを引いただけで,お金もほとんど掛けずとも歩行者も自転車も安全に走行しているとの報告もあります。そこでお尋ね致します。京都市は,歩道及び路肩の幅員と自転車歩行者道における自転車通行部分の分離状況について調査するとのことでありました。その結果についてどうであったのか。さらに,調査結果を踏まえ全国の事例をつぶさに検証し,実効性ある対策を実現するための今後の取組についてお伺い致します。また,先般2月15日から17日に掛けて市内13箇所において京都府警と共にマナーアップキャンペーンが実施されました。走行環境が伴わない現状にあっては,喫緊の課題である歩道上の危険回避はしっかりと取り組まなくてはなりません。再三申し上げているとおり御池通などこれほど広い歩道でありながら安心して歩けない歩道では困ります。キャンペーンの検証も踏まえた次なる取組が必要であります。考えをお聞かせください。 最後に,ペット葬儀社及び霊園等について申し上げます。近年動物愛護精神の浸透やいやしとしてのペットブームなどにより全国でペット霊園及び葬儀業者が増加しております。研究機関の調査などによると,ペット業界の平成20年度の市場規模は約1兆1,400億円で,うち葬儀関連は250億円を超える見通しであります。全国には1,200社ほどの業者が乱立し,今なお増加傾向にあるとのことです。この背景には,動物の販売などについては,動物愛護法においてペット販売業者が知事の登録を受けることを義務付けられております。それに対してペット葬儀業社が営業するに当たっては届出さえ必要なく,だれでも手軽に始められることが大きな要因であると考えられます。こうした状況にあって,近年国民生活センターにはペット関連のうち骨が返ってこなかった,説明とは違う高額の料金を請求されたなど葬儀にかかわる相談も増加しております。一方で,突然,東京都板橋区のように住宅街にペット葬儀社ができ,異臭や騒音などで住民とのトラブルが発生している事例が後を絶たない状況であります。先般も埼玉県において100匹以上のペットが山中に不法投棄され,ペット葬儀業者が逮捕されたことは記憶に新しいところであります。ペットを家族の一員として供養したいという愛情につけ込んだ悪質な手口であり,同業者からは業者の登録制度などの法整備を進めるべきだとの声も上っております。先日,環境省は,ペット葬祭業者を登録制とする方針との報道がありましたが,詳細は今後とのことであります。これらに対し,国の動きを待つことなく千葉市やその他の自治体では,既に独自に条例を制定し住民とのトラブル回避,悪質業者の参入予防などを行っております。京都市においても,こういったトラブルが発生することは十分に考えられます。需要が増してくるであろうこともかんがみ,所管局がまたがることは重々承知しておりますが,他都市の条例も参考に融合の精神で是非とも条例制定に向けて検討すべきであると考えますがいかがでしょうか,御所見をお聞かせください。 以上で質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(柴田章喜) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 湯浅光彦議員の御質問にお答え致します。 まず財政健全化に向けた取組についてでございます。平成21年度につきましては,世界同時不況の影響が一層拡大したことや市民生活の厳しさを反映した生活保護費が大きく増加したことなどにより,年度途中において大幅な収支不足が見込まれたため当初予算における職員削減や全職員の給与カット等の取組に加えまして,国の経済対策交付金の活用や行政内部の経費の更なる徹底した削減など,全庁挙げて収支の改善に全力投球して参りました。こうした取組に加えまして,特別に講じた財政調整基金の全額取崩しなどによりまして155億円を超えた大きな収支不足を何とか解消し,現時点ではおおむね単年度の収支が均衡を確保できる見通しとなっております。しかしながら,前々年度,すなわち平成20年度からの30億円に上る累積赤字の解消には至らないことや,今年度においても引き続き厳しい経済,雇用状況が続くことから,今年度におきましても経費の節減などの取組を一層強力に推進して参ります。また中長期的な財政構造の改革に向けて設置致しました財政改革有識者会議においては,現在主要な論点に沿って具体的な論議が進められておりまして,今年夏ごろに予定致しております提言を基に,全庁的な組織である財政健全化推進本部におきまして具体的な取組方針を策定し来年度予算に反映させるとともに,国への地方財政確立への要望も強化し中長期的な展望の下,特別の対策に依存しない持続可能な財政運営の確立に全力を傾注して参ります。 次に,今後の美術館運営についてでございます。海外の優れた作品を国内で気軽に観賞できることは非常に有意義なことと考えております。しかしながら,現在海外の美術館から優れた作品を借り受ける場合の保険料が高額となっており,湯浅議員御指摘のとおり質の高い展覧会を開催するに当たっての大きな障害となっております。主要国の多くが導入している国家補償制度は,主催者の保険料負担を軽減することになり,市民が質の高い作品に触れる機会が増え文化芸術の振興に寄与するものと考えております。京都市美術館では,今年度ボストン美術館展を開催し今後も海外の著名な美術館展を計画しているところであり,私と致しましても制度の創設を大いに期待致しております。また平成25年度に迎える美術館の80周年に向けた取組と致しまして,大型の海外展や所蔵品を中心とする魅力ある特別展等を企画し,市民の皆様により良い環境で観賞いただける美術館づくりを市民の皆様と共に努力して参ります。 次に,パートナーシティ提携についてでございます。多様な文化,文明を有する海外諸国との都市レベルでの交流は,文化,観光,経済,学術研究分野などにおいて国際社会の中での京都市の発展に大きく寄与するものでございます。湯浅議員御指摘のとおりパートナーシティ提携は,民間レベルでの交流を基本とした都市提携の形態で市民の皆様により多くの国々との交流を深めていただくうえで非常に有意義であり,民間交流の実績や将来展望,相手都市の意向や特徴などを考慮しつつ積極的に提携を結んで参りたいと考えております。このため,昨年12月にトルコ共和国のコンヤ市と文化芸術分野を中心とするパートナーシティを提携したところであります。また現在,同志社大学が学生交換や学術交流を行う大学間提携を進められている複数の大学が所在するトルコ共和国のイスタンブール市とパートナーシティ提携に向けた協議を進めております。イスタンブール市は,西洋と東洋との文明交流の拠点としての歴史を有する大都市であり,国レベルでの友好120周年の節目に当たります本年内をめどに学術研究,教育分野での交流を中心とした提携を締結したいと考えております。今後とも世界の国々との交流を積極的に進め,市民が誇れる世界文化自由都市,世界とつながるまち京都の実現に努めて参ります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(柴田章喜) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) ペット葬儀社に関連したお尋ねでございます。核家族化や少子長寿化により生活に安らぎといやしを与えてくれる犬,猫などのペット動物の重要性が増す中,長年連れ添ってきたペットと死別したときには,ペット葬儀社に火葬や埋葬を託される飼主が増えてきております。こうした中,全国的には,議員御指摘のとおり業者と飼主の間,また近隣住民との間でトラブルが多発致しておりまして,消費者の保護や業界の適正化,また地域の生活環境を保全する観点からの対策が求められております。現在のところペット葬儀業に対しての国の規制はありませんが,埼玉県で発生したペット死体遺棄事件を受け,環境大臣がペット葬儀業を規制するため動物愛護法改正も視野に入れ登録制を導入するなど新たな制度を検討する考えを明らかにされたところでございます。本市の今後の対応につきましては,来年度にこの法改正が予定されていますことから,その動向を注視するとともに市内の実情,また他都市の例も参考に条例制定の必要性等について,今後研究検討を進めて参りたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(柴田章喜) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕 ◎副市長(由木文彦) 自転車走行環境及び利用マナーの向上についてお答え致します。本市においては,本年3月に改定致しました京都市自転車走行計画においてマナー,ルールの確立と共に,走行環境の整備に向けた取組についても推進することと致しております。さらに,これらの取組をより具体的に進めるため本市関係部局と京都府警察の関係各課で構成されます京都市自転車マナー向上等適正化協議会を立ち上げ,より効果的,効率的な啓発の方策や走行環境の在り方について幅広い検討を行って参っております。まずマナーの向上の取組と致しましては,2月に実施致しました第1回目の実績も踏まえまして,本日から第2回目の市域一斉自転車利用マナーアップキャンペーンを展開し市内全域で啓発活動を行うことと致しております。今後とも地域の皆様,関係機関及び区,支所が連携して継続的かつ広域的に取り組んで参ります。 次に,自転車走行環境につきまして平成21年度に実施致しました現状調査では,道路延長3,558キロメートルに対して,歩道のある道路延長637キロメートルのうち自転車と歩行者の通行部分が分離された道路は27キロメートルという状況でございました。こういった現状を踏まえ,今年度歩道幅員に恵まれた御池通におきまして歩行者と自転車とを物理的に分離する実証実験を行うとともに,歩道幅員が十分に確保できない箇所等におきましても路肩などを利用した自転車走行環境の整備について関係機関との協議を進めて参る所存でございます。今後とも精力的に共汗融合による自転車政策を総合的に推進し,歩行者と自転車が安心安全に通行できるまちづくりに取り組んで参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(柴田章喜) 次に,市政一般について,津田早苗議員に発言を許します。津田議員。 〔津田早苗議員登壇(拍手)〕 ◆(津田早苗議員) 伏見区選出の津田早苗でございます。湯浅光彦議員に引き続き市政一般について質問致します。市長,理事者におかれましては誠意ある御答弁よろしくお願い致します。 今,社会構造が変化する中で,うつ病などの心の病やドメスティック・バイオレンス,児童虐待や一人暮らしの高齢者の孤独死の増加など国民の生命や生活を脅かす深刻な問題が増え,これまでの制度では対応しきれない新たな課題が増えています。これまでの年金,医療,介護,子育て支援などの社会保障や福祉の柱を強化し再構築する一方で,公明党はこうした新たな不安に対応するため現在と将来の生活の安心の土台となる新しい福祉を提案しております。今回は女性の健康,児童虐待や障害者等の問題について取り上げさせていただきます。初めに女性特有のがん対策についてお伺いします。日本人の2人に1人ががんにかかり3人に1人が亡くなっており,特に20歳から40歳代の若い女性に女性特有の乳がん,子宮頸がんが増えています。しかし,受診率が約2割と低く早期発見,早期治療が必要であり,受診率を向上させ女性の命と健康を守るために公明党京都府本部女性局は,4月に国に対して女性のがん対策の強化充実を求める署名とヒブワクチンの公費助成を求める署名活動を行いました。京都府下の約40万人の方に御協力いただき,5月13日厚生労働省に署名を提出して無料クーポン券の恒久化とワクチンの公費助成の一日も早い実現を要望して参りました。また,昨年度に公明党の強い推進によって一定の年齢の女性に対して,乳がん,子宮頸がんの検診無料クーポン券と検診手帳が配布されました。今年の2月日本対がん協会が行った調査でも平成21年度受診者数は,無料クーポン券により乳がん検診の受診者は前年に比べ14パーセント増え,子宮頸がんも9パーセント増えて,特に20歳,25歳の若い女性の子宮頸がん新規検診者が増えたことが分かりました。京都市においては政令市で一番早くに無料クーポン券を配布してくださり,今年の1月末現在で配布対象者のうち乳がん,子宮頸がん検診者合わせて8,000人近い方が受診されました。無料クーポン券のおかげで女性特有のがんに対する関心が高まり,がんの早期発見ができましたと喜びの声をたくさん聞かせていただきました。ところが民主党政権は,命を守る予算と言いつつ22年度予算では女性特有のがん検診の国費負担を半分に減らし,残りを地方交付税で措置することになりました。21年度の無料クーポン券事業は216億円計上され,ほぼすべての自治体で実現されましたが,今回は約3分の1の76億円に削減され,市町村の負担が大きくなり財源が厳しい地方自治体では導入を見送るところも出てきております。我が党は全国3,000人の議員ネットワークを生かし22年度がん検診無料クーポン券事業に関する実態調査を致しましたところ,政府の予算削減で断念するところが42自治体ありました。無料クーポン券配布は,少なくとも5年間は継続する方針でスタートした制度であり,国が方針を維持して全額国庫負担で全自治体が実施できるようにすべきであると思います。門川市長は厳しい財政の中,女性の命を守る施策としていち早く継続を表明してくださいました。昨年度の実態を踏まえ,今年度の取組について具体的にお答えください。また23年度以降も是非継続していただきたいと思いますが,今後,特に乳がん検診の実施機関の拡充や夜間,休日の検診の実施,また職域での受診率向上のために,どのように取り組んでいかれるのか市長の御所見をお伺いします。また,若い女性の子宮頸がんが急増しており,我が党の推進により昨年の12月にワクチンが承認され10歳以上の女性に予防接種が可能となりました。子宮頸がんはワクチンと検診で予防できる唯一のがんであり,予防の有効的な手立てには教育も大切です。欧米諸国では,子宮頸がんの原因がヒトパピローマウイルスであることを学校の授業で採り入れ,国を挙げて子宮頸がんを撲滅する教育がなされています。京都市では,小学校4年生から体や病気の仕組みについて発達段階に応じて保健学習をしていると伺っておりますが,学校教育の中で薬物や健康管理を含め自分の心や体を大切にしていく教育を強化していただくことを要望致します。 次に,児童虐待についてお伺い致します。小さな命が親からの虐待によって奪われた事件が今年に入ってからも相次いでいます。親が子供に十分に食事を与えず衰弱死させたり,親の暴行で死亡させたり,かわいい盛りの子供が親から見放され命を落とす,そのむごい様子を思うだけでも心が痛むとともに,もっと早く救いの手を差し伸べられなかったのかと大変に悔しい思いがします。厚生労働省の報告によると,児童相談所での相談対応件数も増加の一途をたどり過去最悪となっており,児童虐待による死亡例を分析したところ,死亡した子供の年齢は生後1歳未満に集中しています。原因としては,母親の子育て不安やいら立ちなど心理的,精神的な問題や,最近の事件では家庭内の夫婦の在り方などにあるのが分かりました。京都市においても,20年度児童相談所に寄せられた相談,通告件数は前年比112件増の824件で過去最高となり,622件が虐待と認定されました。虐待を受けた子供の年齢は乳幼児が約5割を占め,ネグレクトが45.3パーセント,身体的虐待38.7パーセントという状況で,家庭という密室の中で行われ,小さな幼児は自己表現もできず親から受けている虐待が発見されるまでに時間が掛かります。核家族化の進行や地域のつながりの希薄さにより孤立化が進んでいるうえ,近所一体で子育てに取り組む地域力の低下などが考えられます。そのような問題解決のために,京都市は虐待を未然に防ぐため,こんにちは赤ちゃん事業を始め育児支援家庭訪問事業などを行っているほか,市民と行政が一体となって子育てを支えるため,全市,行政区,地域レベルにおける子供ネットワークが構築されております。21年度には,虐待を受けた子供をはじめ保護を要する子供に関する情報交換や支援を行う場として要保護児童対策地域協議会が全区役所,支所に設置できたことや,24年度に開設予定の第2児童福祉センター(仮称)の設置により機能強化されることを期待しております。今後,虐待の未然防止や早期発見のために今まで以上にスピード感のある取組が必要となります。児童相談所をはじめとする関係機関や地域住民との連携により,家庭支援を実現するための具体策についてお答えください。 次に,子育て支援についてお伺いします。世界に類を見ない超高齢化社会を迎えた日本にとって働く女性の仕事と子育ての両立支援は,少子化対策という観点からも重要課題となっています。改正育児・介護休業法が6月30日から施行されますが,男女が共に子育てや介護をしながら働き続けることができる雇用環境の改善が目的です。介護では年間5日から10日の短期休暇制度の創設や,育児に関するポイントの第一は,3歳未満の子供を持つ労働者を対象に短時間勤務制度の義務付けや労働者の請求による残業免除の義務付けを実現しました。女性の場合,第一子の出産を機に約7割が離職することが多く,女性が働き続けるために不可欠な制度となり仕事と子育ての両立にとって非常に大きな前進です。第二は,父親の育児休業取得の促進のため育児休業取得可能期間を現在1歳から1歳2箇月に延長することになります。また,妻の出産後8週間以内に夫が育児休業を取得した場合,夫は2回目も取れます。日本の男性が家事,子育てに費やす時間は先進国では最低水準で,今回の改正で父親の育児休業取得が増えることに期待したいと思います。 私たち公明党京都府本部は,働くお母さんに聞く,子育て応援総点検運動アンケート調査をして府内457名の方から回答を頂きました。子育て支援として重要と思う対策は何ですかの問いに対して,保育料や授業料の教育費支援が一番多く,子供を預ける施設の拡充や子ども手当のような直接支給などの回答があり,また,育児休暇を取ったが,保育所の空きがなく4月から復帰ができなかった,保育所を増やし安くしてほしい,入所手続の簡素化をなど保育にかかわる意見を多く頂きました。公明党は,安心して子育てできる社会に向け,駅や職場を中心に施設の整備を進めると同時にゼロ歳児や1歳児の入所,延長保育,休日保育,保育ママや認定子ども園など多様な保育サービスの拡充を推進しています。京都市においても,待機児童解消に向け定員の拡大や延長保育,一時保育の拡充に取り組み,また市独自の事業で昼間里親を60年間持続してくださっていますが,長引く不況で共働きの世帯が増加して,21年度待機児童は180名おり,22年度も増加の状況と思われます。京都市は,待機児童解消に向け保育ママや事業所内保育施設の支援などの導入も含め,今後どのような取組をされていかれるのかお答えください。 次に,学習障害,いわゆるLDの児童生徒に対する学習支援のデイジー教科書活用についてお伺いします。デイジー教科書とは,教科書の内容を電子化したもので,パソコン上で文章の文字が音声で読み上げられ読み上げられている場所が一目で分かるようになっており,読む速度や文字の大きさ,色や行の間隔も個別のニーズに合わせて自由に変更できます。視覚障害や聴覚障害だけでなく読むことが困難な児童や大人にとっても大変有意義なものだとされています。教科書は,学校での授業の主なる教材であるとともに,特に小学校低学年の児童にとっては,読み書きの習得や読書活動のきっかけとしても重要なものです。しかし,学習障害のある児童には,読むことが苦手な児童もいます。こうした児童生徒には文字がゆがんで見えたり,文字や単語を理解するまでに時間が掛かるなど一人一人様々な困難を抱えています。授業において読むスピードが極端に遅かったり飛ばし読みをしたり,失敗を繰り返すことによって疲れたり,いら立ちを覚えることにより文字を読むことが次第に苦手になり学習意欲を失う児童生徒も多いと聞きました。こうした児童生徒の学習を支援するツールとしてデイジー教科書の活用があります。欧米では,既に学校の授業等において積極的に活用されていますが,我が国では法律等の制約もあり普及が進んでおりませんでした。公明党の提案により平成20年6月に教科書のバリアフリー法が成立したことを契機にデイジー教科書の普及が進み,昨年度は全国で300人を超える児童生徒が,京都市では小学校10校,中学校で2校利用していると報告され,活用した児童生徒は,授業中スムーズに文章を読むことができたり疲れやいら立ち,劣等感を軽減でき,本や文章を読むことが楽しく感じられたと報告がされています。また5月13日には文部科学省から教育委員会に対しデイジー教科書の活用を積極的に取り組むよう事務連絡なされたと伺いました。学校でのデイジー教科書の使用は,パソコン等環境整備の課題もあると思いますが,本年は国民読書年でもありますので,これを機会に教師への啓発を推進していただき,視覚障害,聴覚障害はもとより学習障害で読むことが困難な児童生徒への支援に向けた取組を進めていただきたいと思いますが,教育長の御見解をお聞かせください。 最後に,障害者の就労支援についてお伺いします。鳩山政権は,発足後直ちに21年度の第1次補正予算の執行を停止し,前政権からの切れ目のない景気対策を凍結し経済の成長戦略を後回しにしてきた結果,景気が低迷する中,企業等が大幅な人員削減に踏み切り完全失業率の悪化が続き,全国の中でも最も厳しい近畿では,3月末には5.8パーセント,完全失業者数も59万人となっています。21年度公明党は,新たな雇用対策を提言し,特に再就職支援策として緊急雇用創出事業を実現させました。京都市においてはこの事業を活用して,福祉分野では地域包括支援センターの事務職員やインフルエンザ相談窓口の職員などに多くの雇用を創出されたと聞いております。しかし,まだまだ厳しい雇用情勢の中,特に障害のある市民の雇用の低下は深刻な問題であります。このようなときこそ障害のある方が意欲と能力と適性に応じて生きがいと希望を持って働くことができるよう雇用を促すために,企業等関係機関が連携して就労支援の環境整備をすることが大切です。今後障害者の雇用創出促進に向け,どのような支援をされていかれるのでしょうかお答えください。以上もちまして質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(柴田章喜) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 津田早苗議員の御質問にお答え致します。 まず女性特有のがん対策についてでございます。私は,子宮頸がんや乳がんの対策は,がん検診の積極的な受診勧奨と利用しやすい検診体制の確立が何より重要であると考えております。このため昨年7月に子宮頸がん,乳がん検診の無料クーポン券を5歳ごとの節目年齢の女性の方々に送付し,2月末現在両検診合わせて約1万人の方々が受診されております。 〔柴田副議長退席,加藤議長着席〕 ◎市長(門川大作) (続)津田議員御指摘のとおり,本事業の国補助が2分の1に半減しましたが,私は,女性の命と健康を守るため必要な事業であるとの思いから今年度も予算計上したところであり,6月下旬には無料クーポン券を郵送致します。また受診ニーズが高まる乳がん検診では,従来からの検診車による巡回検診や東山保健センターでの検診に加えまして,昨年10月からは新たに14箇所の医療機関での検診を開始したところであります。その後順次実施箇所を拡大し,現在は18箇所の医療機関で実施致しております。なお,可能な場合には土曜や夜間の検診も実施していただいております。今後とも,がん検診の重要性を市民の皆様に広く周知するとともに,利用しやすい検診体制の構築に向けまして全力で取り組んで参ります。 次に,児童虐待対策についてでございます。児童虐待は掛け替えのない子供の命にかかわる重大な人権侵害であり決して許すことはできません。しかしながら,今年に入っても幼い子供の命が失われるという重大な虐待事案が全国各地で続発しており,私も大変心痛めているところであります。本市におきましては,これまでから児童相談所や子ども支援センターをはじめ学校,保育所,幼稚園,様々な地域団体などと共に児童虐待の未然防止,早期発見,早期対応に全力を傾けて取り組んで参りました。さらに,津田議員御指摘のとおり,これまでの取組を一歩進めまして昨年度には虐待及びその疑いのある家庭に的確に対応するため,地域の関係団体や機関により構成する要保護児童対策地域協議会をすべての行政区,支所に新たに設置したところであります。今後,京都市の南部地域を所管する第2児童福祉センターの整備による児童相談所機能の充実と共に,この地域協議会を中心に京都の地域力を生かして子供と家庭をしっかりと見守るネットワークを強化し,よりきめ細かかな家庭支援を実現して参ります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 障害のある方の就労支援についてお答え致します。議員御指摘のように厳しい雇用情勢が続く中,特に障害のある方の雇用への影響は深刻でございます。京都市では,昨年度,国や京都府,経済団体等と緊密に連携して障害のある方の就労を支えるため障害者就労支援推進会議を設置致しました。今年度には,企業に対する雇用支援策として,この会議の下で企業アンケートや先進事例の研究,セミナーの開催等を行います障害者職域開発推進事業を実施することと致しております。また,昨年度から取り組んでおります京都市役所を職場実習や雇用の場として提供する障害者職場実習・チャレンジ雇用推進事業につきましても,今年度は障害の範囲や受入れ人数の拡大を図ることと致しております。加えまして,今議会に提案させていただいております補正予算では,緊急雇用対策の基金を活用しマッサージ等の施術ができる視覚障害のある方を従業員の疲労回復等を行うヘルスキーパーとして企業等に派遣し,その有用性を広めることで企業等での雇用を促進致しますヘルスキーパー普及支援事業費を計上しているところでございます。今後とも障害者の雇用創出と障害のある方が適切な支援を受けながら働くことが当たり前のこととなる地域社会づくりに努めて参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 谷口子育て支援政策監。 〔谷口子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(谷口義隆) 保育所の待機児童解消のための取組についてでございます。本市におきましては,待機児童解消に向け昨年度当初と比較して125人分の保育所の定員拡大や昼間里親の定員増などを行ったところでございます。また,昨年来の市会における議論や国の方針を踏まえ,各保育園に御協力をいただき定員外の受入れについてもより積極的に進めております。これらの取組によって今年度当初時点では,昨年度を700名上回る児童の受入れを行ったところでございます。しかしながら,近年,働き方の多様化に加え引き続く経済不況の中,就労を希望する保護者が増加しておりますことから待機児童数は増加傾向にございます。このため今年度予算において345人分の定員増を図る保育所の新設及び増築の予算を確保し,その整備を着実に進めるとともに今後は保育園の分園の設置,さらには今年度から法制化されました家庭的保育事業,いわゆる保育ママ制度の活用や事業所内保育施設への支援を検討するなど待機児童解消に向けて積極的に取り組んで参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 音声付のデジタル教科書でありますデイジー教科書についてでありますが,知的にも視覚や聴覚にも問題がないのに読むことが困難な学習障害の子供たちに対する有効な支援方法の一つとされております。本市では,既に熱意ある教員により先進的にデイジー教科書を活用した教育実践が始まっており,読むことが困難な子供が国語の学習に意欲的に取り組み,より理解が促進されるなどの効果が現れております。現在,文部科学省におきましてもデイジー教科書の普及や有効な活用方法の検討が進められているところであります。本市と致しましても,こうした国の動向やこれまでの本市での実践の成果を踏まえ,学習障害の子供の個別指導を行うLD等通級指導教室での実践研究や研究成果を広める公開授業,さらに有効な活用方法等についての研修を進めるなどデイジー教科書の導入拡大に努め,読むことが困難な子供への一層の支援に取り組んで参ります。以上です。 ○議長(加藤盛司) これをもって一般質問を終結致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 本日は,これをもって散会致します。 〔午後4時43分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    加藤盛司          副議長   柴田章喜          署名議員  くらた共子          同     隠塚 功 △(イメージ)請願文書表「受理番号285」「マンション建設の指導」...